【異常事態】都知事選ポスターに常識や良識の欠片もない人が次々登場するのはなぜか 専門家は「ネットの影響大。β版ビジネスのせい」

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 常識も良識も持ち合わせていない人々──東京都知事選で不謹慎なポスターが掲示された問題では、「とにかく目立てばいい」という愚劣な人間の存在を明らかにした。当然ながら東京都の選挙管理委員会には電話やメールで抗議が殺到し、Xでは「日本人の民度も地に墜ちた」との嘆きが相次いで投降された。担当記者が言う。

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「都知事選のポスター騒動は、NHKから国民を守る党の党首を務める立花孝志氏が『掲示板をジャックして、あなたのビジネスを広げるチャンス』と呼びかけたことが大きな影響を与えました。N党は24人を擁立し、24枚のポスターを貼る“場所”を確保。2万5000円を党に寄付すれば、都内にあるポスター掲示板のうち1カ所で、寄付者の作成したポスターを24枚貼れるという“広告ビジネス”を展開したのです」

 立花氏に呼びかけに応じ、わざわざ寄付を行ってポスターを貼った者が何人もいるのだから、開いた口が塞がらない。黒字に白抜きの文字で「国土交通省!」などと書かれていたり、犬の写真が掲載されたりという、理解不能なポスターが掲示されてしまった。

「そもそも選挙ポスターとは、立候補者が自分の顔や名前、公約を覚えてもらうために掲示するものです。ところがN党が“広告ビジネス”を実施したことで、例えば都知事選とは何の関係もない、キックボクサー・ぱんちゃん璃奈氏のポスターが掲示板に貼り出されてしまいました。彼女のYouTubeによると、用意したポスターは5、6000枚だったそうです。秋葉原などでポスターを見て『立候補したのか!?』と混乱した有権者も多く、真相が判明すると、ぱんちゃん氏に抗議が殺到しました」(同・記者)

名誉毀損を心配する声も

 より深刻な問題を引き起こしたポスターもある。警視庁は6月22日、掲示された24枚のポスターが風営法に違反する可能性があるとし、立花氏に警告を行った。

「渋谷区にあるポスター掲示板に“女性専用のサービス提供”を宣伝する広告ポスター24枚が貼られていたのです。ポスターには若い男性の写真が掲載され、印刷されたQRコードを読み込むとSNSのアカウントに誘導されるようになっていました」(同・記者)

 警視庁が立花氏に警告を発した事案とは異なるが、新宿ではホストのポスターも確認されているほか、女性の顔写真が掲載されたポスターは特に物議を醸している。

「同じようにQRコードを読み込むと、出会い系や詐欺のサイトに誘導されたとの報告がネット上では相次いでいます。またN党の“広告ビジネス”と関係があるのか不明ですが、みんなでつくる党(元・政治家女子48党)の党首・大津綾香氏を批判するポスターも掲示されているとSNS上で話題になっています。大津氏と立花氏は民事訴訟などで対立関係にありますが、都知事選とは全く関係のない論点であることは言うまでもありません。ネット上では『大津氏の名誉を毀損しているのではないか』と心配する声も投稿されています」(同・記者)

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