100円ショップ・ダイソーが「10億円の資産を奪った」と訴えられた 関係会社の前社長が怒りの告発

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「約10億円の資産が向こうに…」

 合意書には、前述の内容の他に、創美出版の株を大創出版に譲渡せよ、とも記されていた。

「また、私が設立した創成舎という不動産管理のための法人についても、基金返還請求権を大創出版に譲渡せよ、と。つまり、創成舎を大創出版に渡せということです。そして、この2点の譲渡価格については、私が長年、利益相反取引によって大創出版に損害を与えたのでそれと相殺するとありました」

 すなわち、

「大創出版、創美出版、創成舎について、私が持っているすべてをダイソー側にただで渡せということです」

 なかなか強硬な要求であるが、はんこは押されてしまい、三法人ともダイソー側に持っていかれてしまったというわけだ。

 それぞれの法人には、多額の財産があったという。

「創美は毎月50万円の収入があるコインパーキングに加え、ゴルフ会員権と車のレクサスを、創成舎は5億5000万円で購入したビルを持っていました。加入していた保険も含めれば10億円の資産があったと思いますが、それも向こう側に渡ってしまいました」

「あまりに乱暴」

 こうして実質、すべてを失った前社長に対し、昨年11月、ダイソー側から、合意書にあった創成舎の基金返還請求権の譲渡を履行せよとの要求が来た。

 到底承服できないと、前社長はこの4月、大創産業と大創出版を相手取り、合意書の無効を争うべく訴訟を起こしたというわけなのだ。原告の代理人弁護士はこう語る。

「原告に損害賠償請求するのであれば、ダイソー側はまず、利益相反による損害が存在し、それがいくらなのかということを立証しなければいけない。しかし、合意書にはそれが一切ない」

「訴訟の前段階でのやり取りの中で、大創産業側は初めて損害額を約20億円以上と主張したのですが、それも根拠が示されていないのです」

「これだけの巨額の財産に関わる案件なのに、弁護士などに相談させる間も与えず合意書にはんこを押させるというのはあまりに乱暴です。全体的に2代目社長の怒りにまかせた言動という印象を受ける。いまだワンマン企業のままなのかなと思います」

 一方の大創産業側の言い分も聞くべく、質問状を送ると以下の回答が。

「コメントは差し控えさせていただきます」

 6月27日発売の「週刊新潮」では、「会社乗っ取りトラブル」の全容について詳報する。

「週刊新潮」2024年7月4日号

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週刊新潮 2024年7月4日号掲載

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