NHK“キングメーカー”がいなくなり、初の「女性会長」が現実味 候補は「女子アナ」三羽がらすの一人

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有働由美子、武内陶子両アナと三羽がらす

 2006年の紅白歌合戦の総合司会を務めたNHK前アナウンス室長・黒崎めぐみ氏(56)が、4月末に民間企業の取締役にあたる理事に就任してから約2カ月が過ぎた。同局は人事面で男女差が感じられないことで知られる。2005年から3年間は報道アナ出身の永井多恵子氏(86)が副会長を務めた。黒崎氏には初の女性会長の期待がかかる。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

 黒崎めぐみ氏のNHK入局は1991年。6年前にフリーになった有働由美子アナ(55)、昨年からフリーの武内陶子(59)と同期。有働氏とは学年も一緒だ。

 3人はアナとしての歩みにも共通点が多い。初任地こそ東大文学部を出た黒崎氏は名古屋放送局、神戸女学院大文学部卒の有働氏は大阪放送局、やはり同大文学部卒の武内氏は愛媛県の松山放送局と分かれたが、その後はいずれも報道からバラエティまで幅広く担当。そろってスターアナとなった。

 3人とも「紅白」の総合司会を務めたところも一緒。武内氏は2003年、黒崎氏は2006年、有働氏は2012年から4年間担当した。看板アナの証明である。NHKの女性アナの採用は年間3~5人程度に過ぎないから、同期の3人が「紅白」の総合司会を務めるのは極めて異例だった。

 3人は張り合うこともなく、仲が良かった。しかし、世に広く認知された時期には差がある。有働氏は入局3年目の1994年に「NHKニュース おはよう日本」のMCに抜擢され、早々と人気者になり、武内氏も有働氏の後任として1997年から同番組に出演し好評を博す。

 しかし、黒崎氏の人気が決定的になるのは2005年から司会を務めた朝の情報番組「生活ほっとモーニング」(2010年終了)まで待たなくてはならなかった。このため、黒崎氏は「遅咲き」とも評された。

 それが影響したのか、「紅白」の総合司会が決まった直後の黒崎氏は「長くやっているとごほうびをもらえるんですねぇ」と、控えめだった。(サンケイスポーツ2006年12月14日付)。

 同期2人に先を越されたことについても「有働も陶子ちゃんも別格ですから」(同)と慎ましやか。さらに「(私の)新人時代を知っている人は(『紅白』の総合司会への起用に)仰天していると思います。ボロボロのアナウンサーでしたから」(同)と、最後まで謙遜していた。

 その後、有働氏は49歳だった2018年に依願退職し、フリーに。大活躍中だ。武内氏も58歳だった昨年、早期退職制度を利用して局を去り、同じくフリーとして人気を博している。一方、3人の中で唯一、局内に残った黒崎氏は出世街道を驀進中。やはり1991年組は傑出していた。

 NHKと民放在京キー5局に女性トップが誕生した先例はないが、黒崎氏の会長就任は現実味の乏しい話ではない。いまだ男性中心の組織である民放と違い、NHKは人事面において男女差を感じさせないからだ。

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