盗撮オフ会に潜入、アップル社へ“直撃”…NHKが「子どもの性被害」問題で大奮闘のワケ

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元塾講師は元スイミングスクールのインストラクター、保育士ら他の犯罪者とコミュニティでつながった

 元四谷大塚の塾講師への取材では、別のわいせつ動画を撮影したスイミングスクールのインストラクターや、同じようにわいせつ動画を撮影した保育士らとつながった過程をたどった。塾講師の男は、彼らに触発されて「自分もやってみたい」と考えるようになり、犯行が次第にエスカレートしていったという。被害者は12人に及び、元講師には今年3月、撮影罪や児童ポルノ禁止法違反などで懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が下された。

 元講師がSNSを通じて入手した児童ポルノを見ると、子どもが直接的な性被害にあう様子が撮影されているケースも見つかった。小学生の女児が「11歳~~カップです」と自分で身体を見せている動画や、ショッピングセンターと思しきトイレで、小学生くらいの男の子が性器を触られている動画などだ。

 元塾講師は、取材班への手紙に被害者への謝罪の気持ちを記しつつも、SNSコミュニティへの断ち切れない思いも、こう吐露している。

「小児性愛者と知り合い、『もう一人じゃない』と言われた時のうれしさ、心強さ、安堵感は忘れません…」

日本版DBS法案の成立のタイミングで大きく報道

 日本版DBS法案が成立した6月19日、その夜に放送された「クローズアップ現代」では、この制度を特集し、「抜け穴」がある実態を明らかにしていた。

 それは、学校や認可保育所では制度への参加が義務になっているものの、学習塾や学童クラブ、スポーツクラブなどでは参加するかどうかは任意であり、参加するかどうかは事業者に判断が委ねられている。

 番組では、中学校の教師から性加害を受けた女性が登場した。教師は逮捕・略式起訴されて懲戒免職処分になったが、処分の後、1年も経たずに学習塾を開業していたという。DBSに参加するかどうかは任意となるケースだ。

 トイレにカメラが仕掛けられ被害にあい、苦しむ子をもつ母親も取材に応じていた。この事件では塾の経営者による犯行だったが、「子どもを傷つけた人がまた何食わぬ顔をして子どもの教育に関わる仕事に就ける…。この法律は誰を守る仕事なのか」と疑問を呈していた。

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