「自分の都合の良いように言葉をもてあそぶな」 キャスター・吉川美代子が小池都知事を辛口批判

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 今月20日に告示された東京都知事選挙。現職の小池百合子都知事と対抗馬の蓮舫議員はともに元キャスターだが、キャスターの吉川美代子氏が分析した両候補者の弱点とは――【前後編の後編】。

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 蓮舫さん自身に何かを伝えたいという気持ちがあるのは分かるのですが、相手を納得させる話し方ではありません。青筋を立てて、とにかく大きな声で主張をする。発言内容も断定的だし、これみよがしみたいな印象を受けます。

 言葉がボールだとしたら、相手の心のミットをめがけて投げかける。そのように話せるのがベストですが、蓮舫さんの場合は心のミットにスパッと入る言葉を投げるのではない。相手に向かってどこでもいいからと何球も全力投球してしまう。そうなれば、相手はボールを受け止められないどころか避けてしまいますよね。

 しかも蓮舫さんは、一音一音をハッキリと言おうとしているから、口にものすごく力が入っている。唇周りがこわばっているというか、尋常じゃない力が入っているのが見て分かります。

 人が心からの言葉を伝えようとすれば、発音とかに気を配る余裕などなく、必死に表現しようとする姿勢になります。たとえ言葉がハッキリとしていなくても、声がかすれていたとしても、心から発している言葉は、相手の心のミットにダイレクトに入っていくものなのです。

相手を小馬鹿にしたような態度

 それに対して小池さんは、ニュースのタイトルになりそうな言葉をパッと思い付くのには長けています。

 環境大臣時代の「クールビズ」、都知事になってからは「3密」など、印象に残るフレーズをパンと掲げます。しかし、それは相手の心のミットをめがけてボールを投げているのではなく、ボールを投げるフォームの格好良さだけ気にしているように見えます。

 真剣に考えた心からの発言であれば、今とは違う話し方になるはずです。誠実に説明を尽くして伝えようとするのが政治家の役割ですよね。また会見の映像を見ていると、上から目線で相手を小馬鹿にしたように話しているのが垣間見える。質問への回答を言い終えた後とか、目は笑っていないのに、口角だけニッて上げていますよね。そういうところにも居心地の悪さを感じます。

 そもそも有権者の命や生活が関わることを話すのに、標語のようなフレーズがスラスラと出てくること自体が変ですし、ワンワードでズバッと言い切ることはできないはずです。

 それなのに小池さんは新聞やテレビで取り上げられるスローガン的な言葉を発して、なんだか言葉遊びをしているようで心に響かない。自分の都合の良いように言葉をもてあそぶなって思ってしまいますね。

 吉川美代子 キャスター

 前編「『小池さんは軍事政権を手本にしているのではないか』 小池都知事を刑事告発した元側近が語る“専制政治”の恐ろしさ」では、小池氏を刑事告発した元側近・小島敏郎氏が、小池氏に都政を任せ続けることのリスクを解説している。

週刊新潮 2024年6月27日号掲載

特集「だから『小池』『蓮舫』は嫌われる 七人の異見」より

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