国立・新築マンション、突如解体の“本当の理由” 積水ハウスが“守りたかったもの”とは

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採算ライン

 つまり、積水ハウスが〈眺望に与える影響を再認識し〉たのは事実かもしれないが、それは決して地元の声を聞いた結果ではなく、単にSNSで悪評が広まったからであろう。

 また、協議に参加したさる地域住民が言うには、

「着工前、われわれは“高さを7階建てに抑えてほしい”とお願いしたのですが、積水ハウス側は“それだと全12戸になってしまい採算がとれない”と反論し、最終的に10階建ての計画を強行してきました」

 これは、当該物件が何階建てなのかはさて置き、販売数が12戸だと採算ラインを割ってしまうという目安を示しているが、

「SNSで反対運動が盛り上がった影響で売れ行きが滞り、直近でも18戸のうち12戸しか成約していなかったようです。よって、積水ハウスとしては“このままでは商売上のうまみがなく、販売を継続したところで中長期的なレピュテーションリスクのほうが大きい”と判断し、事業を中止したのだと思われます」(同)

 ブランドを傷つけないための土壇場での英断ということらしい。

週刊新潮 2024年6月27日号掲載

ワイド特集「風待月の突風」より

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