“歴史的低迷”の西武に光明はあるのか? 暗黒期突入の危険性も…期待の“若手有望株”はいる!

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積極的なバッティングが魅力

 そうしたなか、筆者は二人の“有望株”に期待を寄せている。1人目は、育成4位ルーキーの金子功児だ。光明相模原時代は無名の存在だったが、チームメイトで注目を集めていた捕手の町田隼乙を視察したスカウトの目に留まり、BCリーグの埼玉武蔵に入団した。

 BCリーグの1年目は打率.210と苦しむも、その年のオフに筋力アップに取り組んだことで、翌年は成績を大きく上げて、西武のドラフト指名を勝ちとった。

 二軍の成績をみると、17試合の出場ながら17安打を放ち、打率.304を記録している(6月19日現在)。ショートとセカンドで軽快なプレーを披露し、2つの盗塁を決めている。パワーは、前出の奥村に劣るものの、確実性は金子が上回っており、積極的なバッティングが魅力だ。

 基本的にセカンドとショートが本職だが、BCリーグ時代にはサードをこなしており、内野ならどこでも守れる。長年、チームを支えてきた源田壮亮と外崎修汰が30歳を超えており、チームの将来を考えても、金子の早期抜擢を望みたい。

“右の大砲候補”

 2人目の“有望株”は、育成選手ではないが、2022年ドラフト2位の古川雄大だ。高卒2年目の外野手である。

 佐伯鶴城時代、甲子園出場は果たせなかったが、大型外野手としてスカウト陣の注目を集めていた。当時、他球団の担当スカウトは「とにかく飛ばす力は凄いです。練習では本当に凄い打球を放ちますね。ただ、試合ではなかなか当たらない……」と話していた。

 しかしながら、筆者が現場で視察した3年夏の大分大会、対大分南戦で、特大のホームランを含む長打2本を放ち、強烈なインパクトを残している。それに加えて、脚力と肩の強さがあり、攻守で粗削りながら、ポテンシャルの高さを感じた。

 プロ入り後の古川は、体作りに専念。2年目となる今季は、二軍での出場を増やし、6月15日の巨人戦で公式戦初ホームランを放つなど、成長ぶりを見せている。二軍で経験を積む段階であることは確かだが、これだけスケールがある“右の大砲候補”はなかなかいない。早めに一軍を経験させることも検討してもよいのではないか。

 これほど負けが込んでいれば、開き直って大胆な切り替えができるはずだ。“暗黒期”への突入を避けるために、西武には編成と選手起用の両面で思い切った決断を求めたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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