“歴史的低迷”の西武に光明はあるのか? 暗黒期突入の危険性も…期待の“若手有望株”はいる!

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 西武が、球史に残る屈辱的なペースで黒星を積み重ねている。交流戦終了時点の成績は19勝44敗で勝率.302で、これは西鉄時代の1971年に記録した球団ワーストの勝率.311を下回っている。当時のチームは、主力選手が野球賭博で永久追放された「黒い霧事件」の影響が大きく、今年はイレギュラーな背景がないことを考えると、“歴史的低迷”だと断言できる。

「長期低迷」の不安

 筆者は、昨年6月に<西武が“暗黒期”突入か…主力流出に高齢化、不祥事多発で「長期低迷」の危険性>(2023年6月30日配信)という記事を「デイリー新潮」に寄稿した。ここで指摘した不安は、残念ながら的中してしまった。

 こんなに低迷すれば、球団が補強に動きそうなものだが、松井稼頭央監督が休養し、渡辺久信GMが監督代行になったのみで、なかなか動きはなかった。6月24日にようやくトレードで巨人から松原聖弥を獲得したが、交換要員として同じ外野手の若林楽人が退団しており、それほど有効な補強とは言えないだろう。トレードや外国人選手の獲得などで補強が可能な期間は、まだ1カ月残されているが、対応が遅いという感は否めない。

 一方で、他球団の編成担当者は「西武の動きが遅い理由は、プロ野球界全体の現状が影響しているのではないか」と指摘する。

「西武の弱点は打線ですが、ここ数年は全体的に投手有利となっており、どのチームも得点力不足に苦しんでいます。打てる選手が欲しいと言っても、トレードで出せるような、めぼしい選手はなかなかいないというのが現状ではないでしょうか。それに加えて、細川成也(DeNA→中日)や水谷瞬(ソフトバンク→日本ハム)が、現役ドラフトで他球団に移籍して、ブレイクしたことも大きいです。ああいう選手が出てくると、“なぜ移籍させたんだ”という声がどうしても出てきますよね……。選手本人にとっては良いことなんですが、トレードの絶対数が少ない日本では、そういう話になりやすい。ましてや、西武は少し前までは『打者が育つ』と言われていた球団ですから、自チームに脅威になることを恐れて、トレードに乗ってこないということもあると思います」(前出の編成担当者)

「3割打者」は3人だけ

 確かに、規定打席に到達して打率3割を超えている選手は、セ・パ両リーグ合わせて、サンタナ(ヤクルト)と近藤健介(ソフトバンク)、田宮裕涼(日本ハム)の3人しかいない(交流戦終了時点)。

 ちなみに、昨年も打率3割を超えた選手はわずか5人。30本塁打以上を放ったのは、41本の岡本和真(巨人)と、31本の村上宗隆(ヤクルト)だけだった。西武以外の球団も、打てる選手を喉から手が出るほど欲しいという状況だ。

 他球団からの補強が難しいとなれば、西武は、自前の選手を何とか引き上げるしかない。6月3日に高卒3年目の大型左腕である菅井信也(2021年育成3位)、同9日にはルーキーの外野手、奥村光一(育成6位)を支配下登録した。彼らはすでに一軍デビューを果たしている。

 現在の支配下登録の人数は66人。上限の70人まで4枠が残っている点を考慮すれば、育成選手からの昇格も今一度、検討すべきだろう。

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