天才少女歌手が挫折を経て「涙そうそう」へ…「歌に救われて自分がいる」25周年を迎えた夏川りみが向かう先

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コロナ禍を越えて

 2019年、夏川りみとしてのデビュー20周年を迎え、さあこれからというときに、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい、人々の生活は一変した。

 歌手やアーティストもライブを行えない日々が続いたが、「そういう時期があったからこそ、今また、ライブの良さをかみしめています。お客さんの元気な顔を見て声を届けられるのはよかった」と実感を込める。

 いわゆるオンラインライブのようなことは、直接声を届けられないため、やってこなかったという。

「TikTokの撮影を一人でやることもあるけど、息子一人でもいればそれだけでも心が入る気がする」

 それだけにファンとの一期一会を今後も大事にしていきたい気持ちが強まっているという。そんな思いの中、今年5月に7年半ぶりとなるシングル「詩、歌、唄」(配信限定)をリリースした。

「『涙そうそう』をたくさん聞いてもらえてうれしいけれど、今度はオリジナル曲で皆さんに届けられる曲を作りたい」と意気込み、曲作りのチームで最初の打ち合わせからみんなが打ち解けるまで飲み会を数多く重ね、1年以上をかけて完成させた曲だ。

 夏川りみとしてのデビューからの「25年の人生を投影した歌にしたい」という夏川自身の思いから詞が先に上がって、そこに曲がつけられた。

「歌に救われて自分がいる。そしてそれに励まされた人もいる。そのことを伝えたい」

 25周年ツアーがスタートし、「一人でも多くの方に生の声を届ける」ことを目標に走り続ける。その思いに国境はない。台湾で今年2月、5年ぶりのコンサートを開いた。05年から数えて10回目となるコンサートに際し、MCトークにおいては現地語で思いを伝えるべく、「時をかける愛」などの台湾ドラマを見て勉強したという。

 中国では今年4月に上海、杭州、広州と3カ所のツアーを敢行し、今秋には北京や天津でのコンサートも予定されている。

 歌で、言葉で、日本に限らず世界に思いを伝えてきた夏川が今、思い描いているのは「いつかは分からないけれども、島唄だけのアルバムを作りたいんです」ということだ。三線を習いに行くことも視野に入れ、弾き語りによるアルバムを作りたいという。

「八重山民謡から始めたい。いつになるかは分からないけど、ファンの人には待っててね、と話している」

 歌い続けていく、という夢を持ち、今後もその声は日本を、世界を魅了していく。

デイリー新潮編集部

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