天才少女歌手が挫折を経て「涙そうそう」へ…「歌に救われて自分がいる」25周年を迎えた夏川りみが向かう先
多くの人とのつながり
「涙そうそう」で02年にレコード大賞の金賞を受賞し、翌03年には、古謝美佐子のカバー曲「童神」で同じく金賞を受賞した。
この古謝のほか、ネーネーズなど多くの地元先輩アーティストにもかわいがられ、「涙そうそう」のロングヒットが人脈の広がりにもつながってきた。沖縄民謡の世界においても同様だ。
「地元の民謡にも多くの流派があり、それぞれがやっていて『みんなで仲良くやればいいのに』と時に思うほど。でもどの流派の人たちからも声を掛けられて幸せなこと」
宇崎竜童と阿木燿子のコンビによる「ハグしちゃお」を歌ったのは05年のこと。アニメ「ドラえもん」の主題歌として長年親しまれてきたオープニングテーマ「ドラえもんのうた」の後継曲として歌われた 。
「びっくりしましたね。私でいいのかな、と思っていたときに、宇崎さんが『これは夏川りみの声で明るく歌ってほしいんだよ』とおっしゃっていて。私の声ってそんなに明るいのかな、と思いましたね」
レコーディングで会う前には、宇崎に怖いイメージも抱いていたが、実際にはすごく優しく「君の声がいいんだよ~」とご満悦な宇崎の姿が見られたという。
もともと自身では「切ない感じの曲が好きで、声は暗めのイメージもあった」というが、「涙そうそう」を歌っていた頃、シンガー・ソングライターでギタリストの吉川忠英に「女版・三橋美智也さんみたいだな」といわれたこともある。三橋のようなパーンと抜ける声も夏川の持ち味であることは確かで、ライブの後半で盛り上がる際の明るい声は「太陽のよう」と評するファンも多い。
セリーヌ・ディオンとデュエット曲を出したことのあるテノール歌手、アンドレア・ボチェッリと、アルバム「アモーレ:貴方に贈る愛の歌」(06年)でデュエットもした。クリスティーナ・アギレラがボチェッリとデュエットしたのと同じ「ソモス・ノビオス~愛の夢」を歌い、夏川の声は海外の多くの関係者に絶賛されたという。
[3/4ページ]