元AERA編集長が「男性はネット上で蓮舫さんをバッシングした」で物議 専門家が指摘する「女性にも不人気な理由」

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有権者の関心を失う理由

 具体的に“プラスの経歴ばかりの政治家”を考えてみよう。名家に生まれ、幼い時から神童と評判。名門の私立中高一貫校から東大に進学し、国家公務員試験1種を余裕でパスすると、キャリア官僚として財務省に入省。要職を歴任しながらハーバード大学にも留学し、政界に転身すると衆議院議員選挙でトップ当選──こんな人生を歩んできた政治家に対し、あなたは関心や好感を持つだろうか?

「心理学などで研究が積み重ねられた結果、“プラスの経歴ばかりの政治家”は有権者に支持されにくいことが分かっています。『完全無比の人生だ』と見せつけられると、有権者は候補者の間に精神的な距離を感じ、『自分にとっては遠い存在』と判断するからです。要するに候補者への興味を失ってしまうわけですが、積極的に反発する有権者もいます。その場合は完璧な経歴に対する嫉妬心や、エリート層に対する反感などが原因となります」(同・鈴鹿さん)

 物故した首相経験者を見ても、“プラスの経歴”と“マイナスの経歴”が人気に影響を与えていることが分かる。東京帝国大学法学部から大蔵省に進んだ福田赳夫や宮澤喜一の信奉者は決して多くない。一方、「尋常小学校卒業」を売りにした田中角栄は今も人気を誇っている。

蓮舫氏も小池氏も嫌われる

 では蓮舫氏の経歴を見てみよう。父親は貿易商という裕福な家庭に生まれ、幼稚園から大学まで青山学院。キャンパスにはフェアレディZで通い、その美貌からクラリオンガールとして芸能界にデビュー。バラエティ番組の出演を足がかりに、ワイドショーや報道番組のMCを歴任。結婚と出産で仕事をセーブした後、2004年に参議院議員東京都選挙区で初当選して以来、4回連続当選──。

「蓮舫さんも典型的な“プラスの経歴ばかりの政治家”ですから、有権者には好感を持たれません。つまり女性の有権者でも『蓮舫さんが嫌い』という人はたくさんいるのです。もし『男性たちがネット上で、ものすごくバッシングしている』という指摘が、『男性の有権者だけが蓮舫さんを嫌っている』という意味ならば、間違っていると言わざるを得ません。より正確な表現をすれば、『男性でも女性でも、蓮舫さんを嫌いな有権者はたくさんいる』です。ちなみに小池さんも同じ“プラスの経歴ばかりの政治家”ですから、やはり有権者は蓮舫さんと同じ印象を持っていると思います」(同・鈴鹿さん)

 今回の都知事選で「小池さんにも蓮舫さんにも投票したくない」と考えている有権者は多いだろう。2人が共に“プラスの経歴”だけを並べ立てていることも大きな影響を与えているのだ。

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