「隠蔽指示はあったとみるべき」 逮捕者が相次ぐ鹿児島県警、情報漏えい事件の「キーマン」が明かす県警の“不審な動き”

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「まさか報道機関にガサ入れすることはないだろうと…」

 県警の内部資料などを漏らしたとして県警曽於(そお)署の藤井光樹巡査長(49)が逮捕されたのは4月8日。「ハンター」事務所に家宅捜索令状を携えた警察官らがやって来たのも同じ日だった。

「『ハンター』は報道機関です。まさか報道機関にガサ入れすることはないだろうと高をくくっていたら、朝、ピンポンと鳴って“鹿児島県警です”と。その時に携帯電話もパソコンも持っていかれてしまいました。その中に、4月3日に小笠原さんからPDFで受け取っていた今回の文書も入っていたのです」(同)

 中願寺氏は4月21、23日には県警の事情聴取も受けた。

「元々は参考人としての事情聴取と言われていたのですが、後に情報漏えいに関わった疑いがあるとして、被疑者としての取調べになります、と言われました。もちろん情報源の秘匿で何も話せませんから、取調べの2時間の間、ずっと黙っていました」(同)

「隠蔽指示はあったとみるべき」

「ハンター」事務所の家宅捜索により、内部の不祥事が漏れていることを把握した県警の動きは速かった。まず5月13日、トイレで盗撮したとの容疑で枕崎署の巡査部長を逮捕。そして同月31日、情報漏えいの疑いで鹿児島県警の本田尚志・前生活安全部長(60)を逮捕したのだ。

「私も小笠原さんもあの資料を送ってきたのが本田さんだったというのは逮捕後に知りました。本田さんが警察で使っていたパソコンを解析したところ、われわれに送ってきたのと同じ資料のデータが出てきたことで漏えい元だと分かったようです」

 と、中願寺氏は言う。

「枕崎署員の盗撮事件については、情報が漏れていることが分かったので、『ハンター』に書かれる前に急いで立件したのでしょう。あれは昨年12月の事件で、本田さんが退職する今年3月末には捜査は終わっていたのだから、その時点で立件されていないのはおかしい。やはり野川明輝本部長(51)による隠蔽指示はあったとみるべきでしょう」(同)

 無論、「ハンター」への家宅捜索や本田氏の逮捕を最終的に決断したのも、野川本部長その人であろう。腐臭漂う鹿児島県警で、彼はいくつの罪を闇に葬ったのか。

 前編「逮捕者が相次ぐ鹿児島県警 情報漏えい事件、内部情報を受け取った記者本人が明かす騒動の裏側」では、警察庁内で話題になっているという「95年入庁の呪い」などと併せて報じる。

週刊新潮 2024年6月20日号掲載

特集「本部長が不祥事隠蔽 『鹿児島県警』が放つ腐臭」より

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