「隠蔽指示はあったとみるべき」 逮捕者が相次ぐ鹿児島県警、情報漏えい事件の「キーマン」が明かす県警の“不審な動き”

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「事務所に県警のガサが」

「本部長による犯罪行為隠蔽(いんぺい)が許せなかった」――。鹿児島県警前生安部長が県警トップを名指しで告発するという前代未聞の事態。複雑に入り組んだその背景事情と腐臭漂う県警の内情を、今回の情報漏えい事件の「キーマン」である福岡のネットメディア代表が明かす。【前後編の後編】

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 鹿児島県警の不祥事を告発する資料をPDF形式で受け取ったのが、福岡を拠点にするネットメディア「ハンター」代表の中願寺純則氏である。

「資料は受け取ったものの、(「ハンター」に鹿児島県警に関する記事などを寄稿していたライターの)小笠原淳さんと“ウラ取るのが難しいね”と話し合い、ちょっと待つかということになりました。で、時間がたつうちに『ハンター』事務所に県警のガサが入ったのです」

 そう語る中願寺氏が運営する「ハンター」は、2年前から鹿児島県警のさまざまな不祥事を書き続けてきた。その末の家宅捜索だった。

“お前ら腐ってるな”

「全ての始まりは県警OBの息子による『強制性交事件』です。事件があったのは21年9月。被害者は新型コロナウイルスの療養施設で働く女性で、加害者は鹿児島県医師会の男性職員です。この男性職員の父親が県警OBで、そのせいか、鹿児島中央署は性被害を訴える女性の告訴状の受理をかたくなに拒否していたのです」(同)

 この事件の取材過程で中願寺氏はある資料を入手する。県警の内部資料「告訴・告発事件処理簿一覧表」。そこには、問題の強制性交事件のものも含まれていた。

「23年に『ハンター』で『告訴・告発事件処理簿一覧表』について写真付きで記事にしたのですが、県警は内部資料の流出を一向に公表しようとしませんでした。そこで今年2月、私はその資料を持って県警に行き、“これを渡すから流出を認めて謝罪してほしい”と迫った。ところが県警の職員はかたくなに受け取りを拒否。私は“お前ら腐ってるな”と捨てぜりふを吐いて帰ってきました」(同)

次ページ:「まさか報道機関にガサ入れすることはないだろうと…」

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