イクメン夫が一転、中学時代の同級生と不倫→同棲 それでも50歳夫が「自分の居るべき場所がよく分からない」と漏らしたワケ

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会社を飛び出した時、ぶつかった女性が…

 それでも人生、何が起こるかわからない。その日は息子の4歳の誕生日だった。早く帰ろうと定時で会社を飛び出すと、女性とぶつかってしまった。

「ごめんなさいと彼女に手を貸すと、その人が『笠井くんじゃない?』と言ったんです。誰だか僕にはわからなかった。『桐山佑香、あ、昔は有沢佑香』と彼女が名乗った瞬間、特徴的なえくぼが僕の記憶を蘇らせた。『佑香ちゃんだ』と叫びました」

 彼女は博喜さんと出会った中国地方のある県で生まれ育ち、結婚してからもずっと地元で暮らしていたのだが、夫の転勤にともなって初めて首都圏で生活するようになった。当時の友人たちは誰も博喜さんの行方を知らなかったが、彼女はその後、彼が転校した学校を調べ、高校をつきとめたと言った。本当にそんなことがひとりでできたのかと後から思ったが、そのときは自分をそこまで探してくれたのがうれしかった。

「それで会社に会いに来たんだ、と。『ごめんなさい、もう帰るところだったのね。今度は約束してからくるから』と彼女が言い、一緒に駅まで歩いたんです。でも30数年ぶりの再会ですよ。せっかく来てくれたのに、このまま帰すなんて失礼すぎる。そう思いました」

 博喜さんは彼女を誘って駅前の喫茶店に寄った。中学生のころから今までの話をお互いにするには時間が足りなかった。ふと気づくと2時間たっていたという。息子の誕生日であることを思い出したが、博喜さんは佑香さんを食事に誘っていた。

「でも断られたんです。『今日は早く帰る約束なんでしょ。だめよ、破っちゃ』って。すでに遅れていたんだけど、彼女にそう言われてLINE交換だけして、あわてて帰りました」

 ところが彼は、会社近くの繁華街にあるケーキ屋さんに寄るのを忘れた。誕生日ケーキを予約していたのに。自宅の最寄り駅まで来て、それを思い出した。あわてて電話をかけたが、すでに閉店したらしく応答はなかった。

「しかたなくコンビニでケーキを買って帰りました。すでに8時を回っていたから、妻は激怒、息子はもう寝ていた。何度も電話したのにと妻は怒って。そういえば僕は携帯の電源を切ったままだった。佑香に会って気持ちが舞い上がってしまったんです」

 急に取引先との間でトラブルがあって先方に行っていたととっさに嘘をついた。これからもつくかもしれない嘘の始まりだという自覚があった。

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