「眠れない時」に有効な“体温低下” 入眠に違いが生まれる「入浴方法」とは

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「明日の朝早いのに眠れない」「眠りたいのに眠れないとますます焦って」――。

 睡眠不足や、睡眠の質の悪化が続くと体調は下降気味に……。それに加えて、季節の変わり目などには「気圧の変化」により引き起こされる体への影響で頭痛やめまいなどのお悩みをお持ちの方も多いでしょう。そんな不調を「就寝前の入浴」でコントロールしてみてはいかがでしょうか。

 気圧を変えることはできませんが、睡眠の質を向上させることは可能です。『月間100万人利用アプリ! 頭痛ーるが贈る しんどい低気圧とのつきあいかた』から、よりよい睡眠のためにすぐに取り入れられるポイントを、一部抜粋・再編集してお届けします。

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入浴で促す“体温低下”が有効

 就寝前の行動で、ポイントとなるのは入浴です。人間の体温は起床前が最も低く、日中にかけて上昇。夕方ごろに最も高くなったあと、だんだんと下がっていきます。これまでの研究で、体の中心の体温「深部体温」が下がると眠気が生じることが分かっています。

 この体温の低下に有効なのが入浴なのです。

「体を温める入浴でなぜ?」と思われた人も多いでしょう。もちろん入浴すると体温は一時的に上昇します。一方で血管が広がって熱を放散しやすくなるため、入浴後はスムーズに体温を下げてくれるのです。

 ただし、熱すぎるお湯に長時間つかると交感神経が優位に働きすぎて、お風呂を出てからもなかなか興奮が冷めません。スムーズに眠りにつくには、副交感神経が優位になってリラックスするのが大切。湯温は38度から40度の少しぬるめで、15分から30分程度の入浴がおすすめです。

 お風呂を出てしばらくは深部体温が高いものの、しばらくすると急速に下がり始めます。そのため入浴時間は就寝する1~2時間前が良いでしょう。

「眠れない時」に頭を切り替える“小技”

 考え事をして眠れない人に、作業療法士の菅原洋平さんがおすすめしているのは、顔を正面に向けたまま眼球だけを左右どちらかに寄せた状態で10秒待ち、考え事が何だったのか忘れさせてしまう方法。

 もしくは、考え事にタイトルをつけて紙に書き出し、脳内から追い出してしまうのも有効だそうです。

「就寝前3分間、歯磨きをして唾液をたくさん出すと、副交感神経が優位になって眠りにつきやすくなります」とも教えてくれました。

パジャマを替えて知覚神経からリラックス

 気圧予報に基づく体調管理アプリ・頭痛ーるのアンケートでも、気圧が変化するときの対策として「締め付けの少ない服に着替える」や、「寝具は自分の体感での快適さを優先する」といった回答がありました。

 プロアスリートの体調管理も行うスポーツ栄養士のくりきみゆきさんも「皮膚には知覚神経がたくさん通っているので、肌心地が良いと感じると、リラックスしているという反応が脳に伝わります」と話します。

 そのため、触って気持ちの良い寝具や寝間着に替えるだけで、体のこわばった部分がゆるんだり、こりや痛みが改善されたりすることもあるそうです。気持ちが良いと感じる状況には個人差があります。自分好みの肌感覚を探してみてはいかがでしょうか。

『月間100万人利用アプリ! 頭痛ーるが贈る しんどい低気圧とのつきあいかた』より一部抜粋・再構成。

〈取材・監修協力〉
菅原洋平:作業療法士、ユークロニア株式会社代表
東京都千代田区ベスリクリニックで薬に頼らない睡眠外来を担当。生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行っている。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』など多数。

くりきみゆき:スポーツ栄養士、ストレングス&コンディショニングコーチ
プロアスリートのための体調管理を担う。スポーツに打ち込む家族を支えたい一般の方にも楽しく快適な毎日を築いてもらえたらと、講演活動やメタバース空間「ZEPETO」でのスポーツ知育遊び場運営も積極的に行っている。

デイリー新潮編集部

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