「20年で約1万店の書店が閉店…」 街の本屋さんを国が支えなければならない理由
経産省がこの春、書店を振興するプロジェクトチームを設置し、大きな話題となっている。その背景には20年で半減したともいわれる、書店の経営環境の激変が。国が「街の本屋さん」を支えなければいけない理由を、旗振り役の齋藤健・経済産業大臣(65)が語った。
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書店の苦境について考えるとき、私には胸に焼き付いて離れない光景があります。
何年か前のある日、息子と一緒に、議員宿舎から歩いてよく利用していた赤坂駅近くの書店さんに行ったときのこと。店の入口に閉店を伝える張り紙がしてありショックを受けました。
「書店という業態は世の中に街に必要とされなくなっているのだろうか?」
そんな問いかけが、張り紙には書かれていました。続けて「志半ばで去らなくてはいけなくなりました。またこの地に戻って来る。この気持ちを胸に日々精進いたします」とも。閉店する書店さんからの切実なメッセージでしょう。実はその一年ほどで周辺の一般書店は既に2店閉店し、ここが最後の一店だった。だから、張り紙を読んだ際、私は自分の住む街から書店が消えていく寂しさとともに、このままではいけない、という危機感をあらたに覚えました。
20年で約1万店が閉店
〈全国で書店の数が減り続けている。
出版科学研究所のデータを見ると、2004年度には約2万店あった店舗数は、現在では1万1000店と半数近くに。出版不況やインターネット書店の広がりを背景に、この10年間だけでも3740店が減少している状況だ。地域に書店のない「無書店自治体」の割合も、全国の市区町村の4分の1に上っている(出版文化産業振興財団の調査)。
そんな中、この3月、地域の文化の拠点としての「書店」の意義を見つめ、その支援のあり方を考える大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム(PT)」を経済産業省が発足させた。リアル書店を「知」と「文化」の拠点として捉え、書店業界を継続的に維持するための振興策を検討するのが目的という。
いまなぜ、経産省は書店の振興に力を入れようとしているのか。このPTは昨年12月に就任した齋藤健・経産相の肝いりの事業だ。かじ取りを行う齋藤大臣に、その意図と問題意識を聞いた。〉
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