パワハラ疑惑で百条委員会設置の兵庫県知事 告発文を書いて、嘘八百呼ばわりされた県職員(60)は今どうしている?「3月末で退職するつもりだったのに…」

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究極のパワハラとは

「ちなみに、コーヒーメーカーを受け取った産業労働部長は、半年以上にわたり返却を怠っていたことが問われて訓告処分となりました。訓告なんてボーナスが減るわけでもありませんから、県民局長と比べてずいぶん差のある処分だと思いました」

 だが、さらに事態は一変する。内部調査に協力した弁護士が、告発文で斎藤知事の政治資金疑惑を指摘された団体の顧問弁護士だったことが判明したのだ。

「内部調査は信用できないということで、それなら百条委員会を設置しようという流れができたのです」

 すると今度は、片山安孝副知事が県議会最大会派の自民党の控え室を訪れ「自分の辞職と引き換えに百条委員会の設置を考え直してくれないか」とお願いしたという。

「こうした動きがかえって、百条委員会の設置を早めることになりました。百条委員会は定数86票のうち50票の賛成で決定しました」

 地方自治法第100条に基づく特別調査員会(百条委員会)は伝家の宝刀とも呼ばれる。証言を拒めば6カ月以下の禁錮、または10万円以下の罰金。虚偽の証言をすれば3カ月以上5年以下の禁錮となるからだ。

「県職員にアンケートをした結果、回答した21人中7人が知事や幹部のパワハラ、6人が知事や幹部への物品供与を指摘した回答がありました。もともと斎藤知事のパワハラは有名で、県職員たちは『今日はこんなことを言われた』とかパワハラ内容をLINEで共有しているそうで、かなり嫌われているんです。また、彼は土産好きとしても名高く、松葉ガニの視察に行ったときに土産にと差し出され、随行職員が『こんな高級なものいただけません』と断ったのに、『その分も俺がもらっていく』と持ち帰ったとか……」

 ところで、告発文を書いた県民局長は3月末で退職のはずだったが、5月になって停職3カ月というのもおかしな話ではないか。

「県民局長はこの3月末で役職定年を迎えました。定年そのものは来年3月なのですが、兵庫県の慣例としてすでに退職希望を提出し、本人も辞めるつもりだったそうです。それが退職4日前に懲戒処分を与えるために覆され塩漬けにされてしまっているわけです。聞くところによれば、本人にろくに事情も聞かず、いきなり停職3カ月だそうです。仮に今後、百条委員会で告発文が事実と認められたら、この処分はどうなるんでしょうね。今ではこの人事自体が究極のパワハラではないかと言われ始めています」

 7月に実質的な審議に入る百条員会、果たして――。

デイリー新潮編集部

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