容赦ない勧善懲悪で気分爽快 「梨泰院クラス」アン・ボヒョンも当たり役 アクションコメディ韓国ドラマ4選

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クレイジーっぷりが桁違い

「バッド・アンド・クレイジー」(Amazonプライムビデオなどで配信中)も面白い。

 権力に媚びて小銭を溜め込むチンケな悪徳警官リュ・スヨルは、昇進を目論んで国会議員ト・ユボムが絡む事件に手心を加えることに。そんな彼の前に、正体不明のクレイジーな筋肉野郎「K」が現れる。ド暑苦しいテンションで「ヒーロー」を自称する「K」は、スヨルが揉み手で迎えたト・ユボムに突如飛び蹴りを食らわしたのを手始めに、スヨルの行く場所行く場所に現れちゃあ、豪快なビッグスマイルとともに悪党をボッコボコに蹴散らしてゆき……。

 バディものの多くは「マジメ&型破り」という顔合わせだが、こちらは「出世大好き小悪党&クレイジーな正義漢」という破天荒な組み合わせ。さらに特筆すべきはその「クレイジー」のクレイジーっぷりが桁違いであることだ。決して武闘派でないスヨルは情けない困り顔を浮かべながら「K」によって意味不明にこてんぱんにされてゆく。サウナでぶっ飛ばされてタイルの上をシャーーーッと滑っていったり、火事場から逃げようとしているのに再び火の中に放り込まれたりする場面は、爆笑に次ぐ爆笑である。根っからのワルではないスヨルが、ハチャメチャな「K」の正義感と可愛げに引っ張られ、だんだんと悪と戦う刑事になっていくのもいい。

 ライダースーツに身を包んだ謎の男「K」の正体は第2話でわかってしまうのだが、ドラマの最も大きな謎は「なぜ『K』は現れたのか?」という点だ。そこには「スヨルが過去に封印した記憶」が関係しており、これが後半に起こる連続殺人事件と絡んでくる――という韓国サスペンス得意の展開にも引き込まれる。

 だが何しろ最高なのは、「翻弄される情けないアニキ」と「制御不能で自由奔放な弟」というバディもの(もっと言えばブロマンスもの)で演じるべき役割を、これ以上ないハマリ役で嬉々としながら演じる2人の俳優の魅力に尽きる。

 特に「韓国ドラマはライトなラブコメばっかり」と思い込んでいる男性層に、その先入観をふっ飛ばす作品として楽しんでもらいたい。

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