容赦ない勧善懲悪で気分爽快 「梨泰院クラス」アン・ボヒョンも当たり役 アクションコメディ韓国ドラマ4選
復讐代行のプロ集団
法の下で裁かれない犯罪者たちへの復讐を代行するプロ集団=模範タクシーの活躍を描く「模範タクシー」(Amazonプライムビデオ、NetFlixなどで配信中)もおすすめしたい。
母親を殺害された過去を持つ元特殊部隊の将校キム・ドギは、タクシー運転手の表の顔を隠れ蓑に、仲間とともに「模範タクシー」(一般に、優良ドライバー認定された黒塗りタクシーのこと)と名乗る復讐代行を請け負っている。
現場から凶悪な犯罪者を拉致するタクシーを追っていた正義漢の熱血検事カン・ハナは、彼らのリーダーである「ムジゲ運輸」の社長チャン・ソンチョルにたどり着き、彼のもとで働くドギと事件の関わりを探り始めるが……。
1~2話ごとに完結する「いわゆる必殺仕事人もの」なのだが、展開は「詐欺師もの」に近く、ドギはターゲットの組織に変装して潜入し、罠にハメる。ある時は「小心者の善人ヅラで、生徒からカツアゲする臨時教師」、ある時は「朝鮮族なまりの、女たらしのギラギラやくざ」と、そのキャラがいちいち濃い上に、どんな役もこなす主演俳優のイ・ジェフンの演技力とコメディセンスが抜群で笑わずにはいられない。
実のところ「模範タクシー」のメンバーは全員が理不尽な凶悪犯罪の被害者である。作品には加害者を罰さない法システムへの怒り、被害者たちの終わらない苦悩、反省のない加害者への容赦ない制裁、さらに言えば「私刑は果たして正義なのか?」というヘビーなテーマが満載なのだが、コミカルパートがその陰惨さを救っている。
「模範タクシー」は基本的に加害者を決して殺さず「監禁担当の次の業者」に渡すのだが、その業者の禍々しい実態が、「悪党であれば何をやっても許されるのか?」というさらなる問題提起になっているのも韓国ドラマらしい。「なんでタクシー?」という理由は、おそらく発想の原点に狂気的な正義に取り憑かれた男を描いた傑作映画「タクシードライバー」があるのではと勝手に想像。
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