容赦ない勧善懲悪で気分爽快 「梨泰院クラス」アン・ボヒョンも当たり役 アクションコメディ韓国ドラマ4選
韓国映画のアクションエンターテインメント作品を好む人は、なぜか韓国ドラマにはアクションがないと思いこんでいるような節がある。解せない。韓国のエンタテインメント界は、俳優もクリエイターも映画とドラマを区別することなく、ほぼシームレスで活躍しており、韓国ドラマにも面白いアクション作品は数多くある。さらに、韓国人はほぼどんなジャンルの作品においても「笑い」がなければ納得しないという傾向がある。そのため、韓国ドラマのラブストーリーの多くが「ラブコメ」であるのと同じように、韓国ドラマのアクションものの多くが「アクションコメディ」なのである。今回はおすすめのアクションコメディドラマを4作品ご紹介したい。【ライター・渥美志保】
「視聴者を絶対に笑わせる!」気合いがみなぎる
「熱血司祭」(Amazonプライムビデオなどで配信中)は、元テロ対策要員の司祭がコミュニティを食い物にする巨悪に立ち向かう痛快アクション。
戦闘のトラウマゆえに制御不能の怒りを抱える神父ヘイルは、悪を強く憎むがゆえに暴力沙汰ばかりを起こす問題児。恩人であるイ神父に預けられ、クダム区に赴任した彼は、そこが検察、警察、政治家、ヤクザが結託し腐敗しまくった場所だと知ることに。そんな中、彼らに非暴力の抵抗を続けていたイ神父が不審な死を遂げる。自殺で片付けようとする警察にキレたヘイルは「超スーパーVIPな人物」に直訴。鶴の一声で始まった再捜査に不満の警察は、署内で最も無能な刑事デヨンにヘイルを押し付けることに……。
恐れ知らずにキレて暴走しまくる司祭と、それに振り回される小心者のヘタレ刑事のバディは、「カッコいい」も「面白い」も自由自在の主演俳優キム・ナムギルと、小心者をコテコテに演じて右に出るもののないキム・ソンギュンというキャストで盤石の面白さ。大金と利権を巡って裏切りを繰り返すワルたちのマヌケぶりも、達者な脇役たちが存分に笑わせてくれる。
この作品が他と比べてずばぬけて面白い理由は、メインストーリー以外の部分も漫画チックな笑いによって埋め尽くされているからだ。虐げられていた弱者たちが「ここぞ!」という時に開示するスーパー能力とか、韓国人以外の何者でもない俳優たちがいけしゃあしゃあと演じる外国人役とか、いちいち「んなわけあるかい!」と突っ込みつつも笑わずにはいられない。
ドラマ全体、キャスト全員に「視聴者を絶対に笑わせる!」という気合いがみなぎっている作品である。実写では表現しにくいがゆえのアニメ使いすらも「どうせなら笑わせる」という気合が感じられ、後半のある場面では腹が捩れるほど爆笑した。ガンガンかかるロックをBGMに展開するアクションも痛快である。
[1/4ページ]