自覚症状なしで人工透析に… 「寿命を決める臓器」腎臓を守るには1日に何歩歩けばいいのか

ドクター新潮 ライフ

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「ラー油絹ごし豆腐」

 冷ややっこを例に考えてみます。これまで豆腐に上から醤油をたっぷりかけていた人が、何の味付けもせずに食べるのは確かに腎臓には優しいかもしれませんが、そのストレスはかなりのもので、現実的とも思えません。そこで、醤油よりも塩分の少ないポン酢をかけて食べてみる。あるいは脂っこいラーメンを、さっぱりとしたとろろそばに変えてみたりする。

 それらを1週間続けて、元の醤油をかけた冷ややっこ、もしくは脂っこいラーメンを一度試しに食べてみてください。その時に「味付けが濃い」と感じたら成功です。“味覚改革”が進んだ証しといえるでしょう。もし失敗したらまた1週間チャレンジする。そうやって少しずつ前進していくのが効果的です。

 みそ・醤油文化の日本人にとって特に難しいのは塩分のカットかもしれません。塩分の過剰摂取は高血圧を招きます。その結果、腎臓の中の毛細血管の塊である「糸球体(しきゅうたい)」が傷んだり、その表面を覆っていてフィルターのような働きをする「タコ足細胞(糸球体上皮細胞)」が剥がれたりして、腎機能低下の原因となります。

 また、高血圧が続くことで全身の動脈硬化につながり、これも糸球体のろ過機能低下を引き起こします。

 さらに、塩分の過剰摂取という行為自体が、余分な塩分を体外に排出しようとするために腎臓の“過重労働”を招き、負担をかけてしまいます。

みそや醤油を他の調味料に

 このように、塩分の過剰摂取をやめることはCKD対策の「基本」ともいえるわけですが、何よりも有効な方法は調味料の工夫でしょう。なにしろ、日本人の1日当たりの平均食塩摂取量の食品別内訳を見ると、実に6割以上が調味料によって占められているのです。

 そこで、調味料による塩分の過剰摂取を避けるには、みそや醤油を他の調味料で代替するのがお勧めです。だし(うま味)、レモンや酢(酸味)を活用し、みそや醤油(塩味)ではなく他の味付けを補うことで食の楽しみを保ち、食欲減退を防ぎながら減塩につなげる。ラー油や七味唐辛子(辛味)もいいでしょう。

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