自覚症状なしで人工透析に… 「寿命を決める臓器」腎臓を守るには1日に何歩歩けばいいのか

ドクター新潮 ライフ

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唯一の方法は「生き方を変えること」

 では、増加の傾向が続くCKDになるのを防ぐ、あるいは症状を悪化させないためには、どうすればよいのでしょうか。

 答えはシンプルです。と同時に、それは極めて難しいといえるかもしれません。なぜなら、腎機能の低下を防ぐそのシンプルな方法とは、「生き方を変えること」だからです。

 高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症……。これらがCKDを招く原疾患です。いわゆる生活習慣病ですね。従って、生活習慣病になるのを防ぐことがCKD予防の第一歩となります。つまり、CKDになるのを避けるには、生活習慣病になるような生活スタイルを改善するしかない。「生活」とは、取りも直さず皆さんの「生き方」そのものです。

 従って、CKD対策としては、ただ一点、生き方さえ変えればいいということになり、シンプルであると同時に、逆にこれほど困難なこともないわけです。

薄い味付けに慣らしていく

 しかし、難しく考える必要はありません。できることから一つずつ取り組んでいけばいいのです。というのも、ストレスは腎臓にとって大敵だからです。気分的な落ち込みなどから生まれる活性酸素自体が腎臓を傷つけてしまいます。ですから、無理して生活の全てを変えようと頑張っても、そのストレスそのものが腎機能の低下を招くという本末転倒の結果になってしまいかねないのです。

 それでは、無理なく挑戦できる生活スタイルの改善には、具体的にどんなものがあるのでしょうか。

 腎臓をいたわる生活として、食事の改善は大きな柱の一つです。とりわけ塩分(塩味)、糖質(甘味)、油脂(脂肪味)の取り過ぎに気を付けなければなりません。つまり、濃い味付けでないと満足できなかった舌(味覚)を、薄い味付けに慣らしていく必要があるのです。

 とはいえ、初めから自分の味覚を完全にリセットしようとするとストレスがたまり、やはり本末転倒になってしまいます。そこで大事なのは、「極端に味付けゼロを目指さないこと」と、「まずは1週間試してみること」です。

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