自覚症状なしで人工透析に… 「寿命を決める臓器」腎臓を守るには1日に何歩歩けばいいのか

ドクター新潮 ライフ

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 改めて「サプリメントと健康」について考えさせられた“紅麹被害”。私たちが目の当たりにしたのは「寿命を決める臓器」がむしばまれていくという恐怖だった。いかにしてその重要な臓器、すなわち腎臓を守るべきか。自ら実践する食事術を含め、名医が徹底解説する。【上月正博/東北大学名誉教授】

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 今年話題になった健康被害のニュースといえば、真っ先に「紅麹サプリ問題」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

 健康のためを考えてサプリメントを摂取していたら、逆に健康を害してしまったという何とも恐ろしい事態が起きたわけですから、世の中が騒然となったのも当然といえます。

 その健康被害のメカニズムについてはいまだに判然としないところもありますが、一つはっきりしているのは、小林製薬の紅麹成分を使ったサプリを摂取した後、腎機能障害が起きたケースが多数報告されていることです。一体なぜ、腎臓に問題が生じたのでしょうか。

20歳以上の7人に1人が発症している慢性腎臓病

 大ざっぱに捉えれば、腎臓は有害物質が集まりやすい臓器だからと言うことができるでしょう。普段、腎臓は血液中の老廃物や塩分をろ過し、体外に尿として排出する働きを担っています。ところが、紅麹成分入りのサプリを飲んだことによって何らかの有害物質が腎臓に集まり、この働きが阻害され、体に異変が起きた可能性が考えられるのです。

 いずれにしても、腎臓の働きがいかに大切であるか、今回の紅麹サプリ問題で改めて気付かされたのではないかと思いますが、果たして、皆さんはどれだけ腎臓を大事にできているでしょうか。

 というのも、3カ月以上継続する腎臓病の総称である慢性腎臓病(CKD)の日本国内の患者数は約1480万人と推計され、実に20歳以上の7人に1人が発症している計算になります。しかも、かつてに比べて腎臓の“地位”は向上している、つまり腎臓の働きの重要性に関する認識は高まっているにもかかわらず、CKD患者は増え続けているという矛盾が起きているのです。

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