まさかの「ブラジャー直撃弾」や相手投手の愛車を破壊した「場外ファール」も…とんでもないところに飛んで行った打球の行方

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逆転2ラン場外弾

 野球場に行くと、必ずと言っていいほど、「打球の行方にはくれぐれもご注意ください」のアナウンスを耳にする。観客席に飛び込むファウル打球などへの注意の呼びかけだが、時には場外ホームランや場外ファウルの打球でも、まさかの事態が起きることがある。【久保田龍雄/ライター】

 助っ人選手が放った特大場外弾が、ブラジャーを直撃する珍事が起きたのが、2010年6月5日の横浜対楽天である。3対4とリードされた楽天は9回表無死一塁で、小山伸一郎の代打、ルイーズが打席に立った。

 5月22日に来日し、6月1日に1軍昇格したばかりの新外国人は、日本の投手の変化球に手を焼き、前日の横浜戦でも代打で三振に倒れていたが、山崎武司に「ちょっとぐらい打てなくてウジウジするな」と励まされると、翌日の試合前に山崎のリストバンドを借りてフリー打撃で打ち込み、雪辱を期していた。

 そして、横浜の守護神・山口俊の「高めの直球」に狙いを定めたが、まったく見当違いの初球、真ん中低めの132キロスライダーに手を出してしまう。

女性用下着のワゴンセールの中に

 だが、「強く叩くことを考えていた」のが結果的に吉と出る。自慢のパワーが功を奏してか、打球は横浜スタジアム左翼後方の「ありあけのハーバー」の看板を越え、勝利を呼ぶ来日1号逆転2ラン場外弾に。

 話はそれだけでは終わらなかった。150メートルも飛んだ打球は、球場に隣接する公園の木を直撃したあと、バザールで出店していたお好み焼きの露店の屋根でバウンドすると、なんと、女性用下着などを販売していた社団法人神奈川繊維協会のブラジャーのワゴンセールの中に飛び込んだ。

 まさかの“ブラジャー直撃弾”に、同協会関係者も「ここまで飛んできてビックリです」と目を白黒とさせていたが、試合後、ボールと引き換えにサインボールが贈られた。

 起死回生の特大弾でチームを交流戦首位の座に押し上げた元世界ヘビー級王者、ムハマド・アリ似の助っ人は「日本1号がこんな形で興奮している。大きな一打を打てたし、次の試合も気合入れていく」とブラジャーのご利益にあやかろうと意欲満々だった。

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