ソフトバンク、「柳田悠岐」が長期離脱しても独走状態へ…背景には“不変の中核”というブレない戦略があった!
「自分の中では想定外だった」
ソフトバンクの交流戦は、12勝6敗で12球団の中2位。交流戦初優勝を果たした楽天に1勝及ばず、5年ぶり9度目の交流戦制覇こそ逃したが、貯金6を積み上げた。交流戦突入直前の2位・日本ハムとの4.5ゲーム差から、交流戦終了時点での2位・ロッテに9ゲーム差をつけ、4年ぶりのV奪回へ向け、いよいよ独走状態に入ろうとしている。
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「優勝の可能性まで来たのは、自分の中では想定外だった。最低5割でやってきたので」
小久保裕紀監督の交流戦総括が、いやに遠慮がちに聞こえる。しかし、指揮官の抱いていた、その“危機感めいたもの”には、確かにうなずけるものがある。大黒柱・柳田悠岐が走塁中に右太ももを痛めて途中退場したのは、5月31日の広島戦(みずほPayPayドーム)でのことだった。翌日の精密検査で「右半腱様筋損傷」で全治4カ月と診断された重症で、シーズン中の復帰も難しい状況に陥ってしまった。
それでも、柳田離脱後の交流戦14試合で、ソフトバンクは10勝4敗の快進撃。その間の連敗もなく、主砲不在という大きな穴を全く感じさせない。その「強さ」を支えているのが支配下、育成での総勢119人、12球団トップの陣容を誇る、昨年から稼働した球界初の「4軍制」による分厚い選手層がその裏付けの一つでもあるのだが、今回はそれとは違った角度から、今季の「強さ」を分析してみたい。
「王イズムの継承」
交流戦終了時での今季62試合で49通りの打順を組んでいるが、4番山川穂高、5番近藤健介の2人は開幕から不動。柳田負傷までの開幕からの48試合を見ると、3番柳田を含め、クリーンアップ3人は開幕から、その顔触れも並びも全く変わってはいない。
その“不変の中核”という小久保監督の方針は、就任時に掲げた「王イズムの継承」という一大テーマが、そのベースとなっている。
「王監督は、主力が先頭に立ってチームを引っ張り、若い選手には『先輩の背中を見なさい』とおっしゃられてきた。王監督時代に築かれたイズムを継承しながら、今一度、チームに浸透させられるように努めていきたい」
その施政方針は、王の1995年のダイエー監督就任以来、現在に至るまでの「博多での30年」で築き上げてきた“強さの土壌”を引き継いでいくという小久保の決意であり、球団の総意でもある。この「王イズム」とは、それぞれの立場に応じた「役割」を、それぞれが着実にこなしていくという、ソフトバンクにおけるチーム作りの大前提でもある。
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