なぜ地方では「氷河期世代」と出会わないのか? 50歳「ネット編集者」が佐賀に移住して気づいた“東京のメディア”のやり口
悲壮感はない
それこそ、看護の業界ではベテランの看護師はどの病院だろうが「来てください!」という状況だし、電気工事や大工も円熟味を増した人材として厚遇を受けられる状況になっている。
要するに、「大企業に入りたかったけど入れなかった、ホワイトカラーの競争が激しかった世代」を「かわいそうな氷河期世代」と一括りにしているのがメディアによるやり口なのである。私も唐津に来なければそのからくりはわからなかったかもしれないが、地方では「氷河期世代=かわいそう」はない。人々は淡々と目の前にある仕事こなし、娯楽を楽しんでいるだけである。
さて、私の東京時代の話だが、2015年頃、「73会」という会に参加していた。1973年生まれの男だけが参加する飲み会である。最近は開催されていないが、まぁ、やろうと思えばまたやれるだろう。
ここに参加するメンバーは基本的にはエンタメ界、出版界隈の人間である。参加者は津田大介、加藤貞顕(note社長)、速水建朗、片桐仁、小宮山雄飛(ホフディラン)、西寺郷太(NONA REEVES)らである。我々はもっとも競争が激しい年に生まれた人間だが、何も悲壮感はない。
あくまでも自身の能力に自信を持ち、カネを稼いでいる。というわけで、「就職氷河期世代はかわいそう」論は一部事実ではあるものの、その論調に甘んじて救いを求め続けるこの20年、不毛ではないか? もう人生なんて自分で切り拓くしかないのである。同世代に言いたいのは「お前らここから根性出して旗あげろ!」である。