渋沢栄一“ゆかりの地”で奪い合い? 新1万円札「イチバンの新券」をゲットする自治体は

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 実に20年ぶりとなる新札の発行が7月3日に迫るなか、「若い記番号」の新札の行方に注目が集まっている。

 新1万円札の肖像となる渋沢栄一の生誕地・埼玉県深谷市は若い記番号の新券の配布を希望してきた。過去の例では肖像となった人物ゆかりの地に配布されたというから、深谷市は一安心かと思ったら、コトはそう簡単ではない。

自治体による“奪い合い”の懸念

 前回の新札発行の際は、最初と末尾のアルファベットが1ケタだったが、今回は2ケタに。間の6ケタの数字と合わせると〈AA000001AA〉が“いの一番”の新券となるが、最も若い番号のお札は日銀の貨幣博物館が収蔵する前例があり、今回もそうなる可能性が高そうだ。

 となると、000002番以降を狙う形になるものの、厄介なのは渋沢翁ゆかりの地の多さ。足跡が残る自治体による“奪い合い”の懸念がある。

生誕地・深沢市長は譲らない構え

 この点、小島進市長(63)は「そこはやはり生誕地。渋沢の著書『論語と算盤』に表れる“忠恕のこころ”などを学校教育に生かしています」と話し、2番目の新券の確保は譲らない構えだ。

 20年前、現行の1万円札の肖像である福沢諭吉ゆかりの大分県中津市には〈A000005A〉が配布される予定だったというが、同市は数字の1番にこだわり、結果として〈A000001B〉を受領した。40年前の新札発行の際に配布された新券と同じ番号で、この2種が市内の「福澤記念館」に展示されている。

 小島市長は2年前に日銀発券局に要望書を持って訪れたほか、今年は日銀総裁宛に若い記番号の新券が入手できるよう要望書を郵送。ただし「受け取ってもらえたが、それ以上のものではない」(深谷市渋沢栄一政策推進課)ため、正式な決定が下るまではやきもきしそうである。

 小島市長は、新札をテコにさまざまな“地域振興策”も検討したという。

「栄一翁なのでAと1が入った〈AA000001○○〉とか、〈4230(シブサワ)〉の入った番号のお札を全国の渋沢ゆかりの地に配ってもらい、そして、みなさんに見て巡ってもらう。そういうのも一つのアイデアかと考えました」

 ただし、と続ける。

「新券のそのような配布の例はこれまでにないため、日銀に要望するまでにいたりませんでした」

週刊新潮 2024年6月20日号掲載

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