ベッツ負傷、長期離脱で1番・大谷翔平ってどうなの? フィリーズのカイル・シュワーバーから導き出される答え

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走力と得点圏打率がカギ

 MLB研究家の友成那智氏は「近年のMLBは強打者を2番打者にすることが主流になっています」と指摘する。

「そのため大谷選手と言えば2番というイメージをお持ちの方も多いでしょう。一方、日本のプロ野球でもMLBでも、1番打者には何より出塁率が求められます。ドジャースの打撃成績を調べてみると、例えばフリーマン選手の出塁率は4割0分9厘ですから、彼を1番に据えることも可能です。ただし、走力は大谷選手が勝るというところがポイントです。盗塁のチャンスだけでなく、ボテボテのゴロなら内野安打を狙えます。さらに今季の大谷選手は得点圏打率が芳しくありません。走力と得点圏打率の2つを考慮し、ロバーツ監督が大谷選手を1番打者に起用することが今後、増えるのではないでしょうか」

 日本人にとって代表的な1番打者といえばイチローだろう。ファウルボールで粘って相手投手の球数を増やし、後に続く打者が球筋を分析できるようにする。ヒットを打って塁に出るのが最も重要な任務であり、長打力はそれほど必要ではない──。

「確かにMLBでも、相手投手の球数を増やすことは1番打者の重要な仕事です。ところが最近のMLBでは長打力のある打者を1番、2番に起用する動きがあります。まさにベッツと大谷が代表例だったわけです。1番打者がホームランを狙って豪快なスイングをしても、アメリカでは特に批判されることはありません」(同・友成氏)

 その極端な例が、フィリーズのカイル・シュワーバー。日本での知名度は低いが、2014年にMLBドラフト1巡目でプロ入りしたスター選手だ。

大谷のホームラン数が減る!?

「そもそも彼は身長182センチ、体重103キロです。外見だけでも先頭打者のタイプではありませんし、昨季の打率は1割9分7厘という驚きの数字です。日本のプロ野球では絶対に1番で起用されることはないでしょう。ところが選球眼が抜群で四球を選ぶので、出塁率は3割4分3厘。何より特筆すべきはホームランを47本も打ったことです」(同・友成氏)

 ちなみに打率1割台の選手が40本以上のホームランを放ったのは、長いMLBの歴史でも史上初だという。巨人の岡本和真が1番を打っているようなものだろうか。

 アメリカでは1番打者にも長打力が期待されるようになりつつある。そのため大谷選手がリードオフマンを任されても、MLBの関係者やファンには納得の抜擢らしい。

「とはいえ、『大谷選手が1番を任されると責任感からヒットを狙い、ホームランが減ってしまうのではないか』と心配するファンも多いでしょう。実はエンゼルス時代、大谷選手は1番で起用されたことがあります。2022年や23年などのデータを調べると、1番の大谷選手は13打数に1本の割合でホームランを放ちました。このペースだと、シーズン50本に乗せることは可能です。少なくとも大谷選手が1番打者を務めることが原因でホームラン数が減ることはない、と見ていいと思います」(同・友成氏)

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