【追悼】「ただ声をあてているのではなく…」 「ルパン三世」峰不二子役・増山江威子さんの“声優としての信念”

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「あくまで絵が主役」

 73年開始の「キューティーハニー」で主役の声を担う。「ルパン三世」2作目のオーディションを受け、不二子役に選ばれる。あくまで絵が主役で、絵を見てそのキャラクターに同化しようと役作りを考えた。伝わるのは声だけでも、俳優と同じように役を演じていた。

 女性の多様な内面を持ち合わせ、健康的な色気がある不二子の魅力は増山さんの声により確立と称賛されたが、ひとつのイメージに固まることを好まなかった。

「天才バカボン」のママや「オバケのQ太郎」のU子、老若男女に動物まで、演じた役は約2000もある。

「原作者が感心するほど役を生きた」(羽佐間さん)

「ルパン三世」引退後も仕事は途切れず

 自分の姿が見えない分、声の表現が工夫できると仕事を楽しむ一方、どんな役にも対応できるよう準備を怠らず、遊び心もあった。

「動物が出てくる番組を一緒に見ていた時、動きに合わせ即興で話し言葉を重ねていました」(美加さん)

 11年、石川五ェ門、銭形警部役とともに交代。沢城みゆきさんが跡を継いだ。その後も仕事は途切れない。

「夫婦でよく会話をしていたのが発声練習になったのかもしれません。ふだんの声もゆったりし、はっきりしています。街中で声で気付かれても恥ずかしくないよう身だしなみに気を使っていました」(美加さん)

 昨年も「それいけ!アンパンマン」でやみの女王やあきかぜさんの声を演じ、青二プロダクションで活躍を続けた。

 5月20日、肺炎のため88歳で逝去。

「きれいで声もずっと変わらない。心が昔のまま素直だからだよ。感謝を忘れない人だったね」(毒蝮さん)

週刊新潮 2024年6月20日号掲載

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