【棋聖戦第2局】山崎八段のAIに依存しない独創的な戦法に対して見えた藤井八冠の強さ

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 将棋の棋聖戦五番勝負(主催・産経新聞社)の第2局が17日に行なわれ、藤井聡太八冠(21)が挑戦者の山崎隆之八段(43)に勝利し、これで2連勝。史上最年少での永世棋聖の獲得に王手をかけた。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

「名局の宿」での第2局

 棋聖戦の第2局は新潟県新潟市の老舗旅館「高志の宿 高島屋」で行われた。大山康晴・十五世名人(1923~1992)や升田幸三・実力制第四代名人(1918~1991)らと熱戦を演じ日本将棋連盟の会長も務めた原田泰夫九段(1923~2004)は新潟県西蒲原郡分水町(現・燕市)の出身。対局場となった高島屋には、原田九段が「名局の宿」と揮毫(きごう)した掛け軸が飾られている。

 対局後、藤井は「序盤は課題が残った。(第3局までに)2週間あるのでしっかり整えたい」と振り返った。初タイトル奪取のためには一敗もできなくなった山崎は「まとめきれないのも実力。そこをしっかり咎められたのも藤井さんの強さ。(第3局は)まとめきって、いい勝負にしたい」と話した。

 先手の藤井は初手で飛車先の歩を進める。後手の山崎は角道を開いた後、4手目の「4四歩」で角筋を止めた。そして14手目に飛車を2筋に振り、「向かい飛車」戦法をとった。山崎はたまに、この戦法を採用する。

向かい飛車の怖いところ

 向かい飛車には、映画「王将」のモデルとなった坂田(阪田)三吉・贈名人・王将(1870~1946)が1919年の東西両雄棋戦で土居市太郎・名誉名人(1887~1973)を破って有名になった「坂田流向かい飛車」や、升田名人が用いた「升田流向かい飛車」、大野源一九段(1911~1979)が用いた「大野流向かい飛車」などがある。

 以前も記したが、向かい飛車は、攻めてくる相手の居飛先の駒を、飛車を参加させてがっちり受ける駒組である。飛車と飛車の間にいた駒が違う筋に動いた瞬間に飛車で飛車を取られる危険がある。

 ABEMAで解説をした屋敷伸之九段(52)が「藤井玉は『銀冠』や『穴熊』にももっていける形」としていた通り、藤井は堅陣を敷く。居玉のまま戦端を開くようなことも多かった藤井は、最近、がっちりと玉を囲う駒組が目立つようになった気がする。

 この日も金1枚が途中から攻撃に出て行ったものの、最終的には金銀4枚で玉を守る銀冠の陣形を敷いた。

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