「美談にしようと事実をねじ曲げ…」 ウクライナを訪問した「小5の平和活動家」の裏側…実母と支援者が訴訟沙汰に

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 美談の裏の醜聞である。ウクライナを訪問し、朝日小学生新聞も持ち上げた「日本で一番小さな平和活動家」。その実母と支援者が袂を分かち、係争中だという。支援者は感動秘話の裏側についても告発し……。

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〈小学生でNPO団体を立ち上げ ウクライナの平和を願う〉

 6月3日、朝日小学生新聞はweb版記事で、大阪府在住の白石望莱(みらい)さん(11)のインタビューを掲載した。

 記事によれば、彼女は小学5年生の平和活動家。戦渦のウクライナの子どもたちに支援が必要だと、自らNPO法人「みらいこども事業団」を設立し、毎月募金活動をしているという。昨夏にはそのウクライナを訪れ、露軍の砲撃で片足を失った少女・パスカルさんと面会までしている。

 彼女はこれまでもメディアに取り上げられること多数の“有名人”なのだが、

「小5の子にうそを言わせ続けるのはよくないですよ」

 と語るのは、関東在住の、さるNPO理事長だ。

「記事で望莱ちゃんはパスカルさんと『SNSで知り合った』となってますよね」

 確かに種々の取材で彼女はそう述べている。素直に読めば、SNSを通じてウクライナ少女と交流し、面会するため危険な戦地に赴いたとの印象を受けるが、

「あれは私が現地の慈善団体との橋渡しをしたのがきっかけ。彼女自身の発案ではないんです」

 理事長はもともと自らの団体でウクライナ支援を行っていた。2年前、活動に興味を持った望莱さんの実母から連絡があったという。

グレタみたいに…

「それをきっかけに白石母娘はうちの活動に参加してくれました。NPOを立ち上げたいというので、設立手続きも教え、私も新法人の理事に入った。その前後からお母さんは望莱ちゃんを“グレタさんみたいにしたい”と言っていましたね」

 そんな経緯もあり、理事長は付き合いのあったウクライナの慈善団体に望莱さんのことを伝えた。すると、

「向こうが興味を示し、“パスカルちゃんと会わせないか”と提案をしてきたのです。お母さんに伝えると大喜び。Zoomを使って二人を引き合わせました」

 そうしたやり取りの中でウ側から「二人は団体を介してではなく直接知り合ったことにしよう」との提案が。理事長もその方が美談になると白石さんサイドに勧めたという。

「お母さんも承諾し、SNSで知り合ったとのストーリーにしたんです。美談にしたいという団体側の提案に乗ってしまいました。私もうかつだったと今は思います」

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