“国家予算の3倍”に!? 詐欺グループに狙われた「認知症の資産」が衝撃の金額だった

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 特殊詐欺グループが海外で強盗の指示を出していたことが明らかになった「ルフィ事件」から1年余り、高齢者を狙った犯罪がまた起きた。警視庁捜査2課が、準詐欺の疑いで山崎和馬容疑者(41)ら4人を逮捕したのは6月5日のこと。

「山崎らの容疑は一人暮らしの認知症の80代女性に不当に高くアパートの部屋を売りつけたというものです。東京・板橋区の不動産販売会社に勤務していた山崎らは約20回、女性宅を訪れて契約を迫り、昨年6月ごろに1600万円を振り込ませた。その際の出入りの様子をケアマネージャーが目撃しており警察に連絡したことから事件が発覚。そのアパートは東京・青梅市にありますが、実際の価格は契約金額の10分の1でした」(警視庁の担当記者)

被害総額は約1億3000万円

 深刻なのは山崎容疑者らが同様の手口で認知症の高齢者を中心に約50件の売買契約を結んでおり、約1億3000万円を売り上げていることだ。

「容疑者の中には、以前にも振り込め詐欺で逮捕された者がおり、認知症患者が新たなターゲットになっているとみられます」(同)

 背景にはわが国ならではの事情がある。日本には推計で443万人もの認知症患者がおり(2022年)、その資産総額が膨大な額になるからだ。

〈膨らむ認知症高齢者の保有資産〉

 こんなレポートが三井住友信託銀行の調査月報に載ったのは22年5月。それによると、政府統計などから推計した結果、認知症の高齢者が保有する資産は金融資産で175兆円、不動産が80兆円にも上るという。これは、日本の家計が保有する資産総額の8%強に相当し、さらに、高齢者が4000万人弱になる40年には合計349兆円にまで膨らむ。国家予算の約3倍だ。

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