世界遺産登録に難クセ 「佐渡金山」を突破口に「日本統治不法論」を認めさせたい韓国
「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産への登録をめぐり日韓が激突する。韓国政府は日本政府に「朝鮮人の強制労働の現場だった」と認めるよう要求した。「不法な日本統治」の証拠にする作戦だと韓国観察者の鈴置高史氏は読む。
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「軍艦島」再び
鈴置:7月21日から31日までインド・ニューデリーで開かれるユネスコ世界遺産委員会で、日本政府が世界文化遺産に推薦した新潟県の「佐渡島の金山」が審議されることが決まりました。韓国政府は日本政府に対し「朝鮮人強制労働の現場だった」と認めない限り、登録に反対すると宣言しています。
――韓国が反対したら世界遺産に認められないのですか?
鈴置:21の委員国の全会一致が原則ですが、それが不可能な場合、3分の2の賛成があれば認められます。「関係改善」を掲げる日韓の外交当局は共に「十分に話し合う」と言っていますが、そんなに簡単に解決するとは思えません。
韓国が交渉でいかなる約束をしても、日本側は簡単には信じないでしょう。「軍艦島のトラウマ」があるからです。2015年7月5日、ユネスコ世界遺産委員会は長崎市の端島(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」を文化遺産として登録しましたが、その際、韓国にコロリと騙されたからです。
その2週間ほど前の同年6月21日、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が訪日し、岸田文雄外相との間で「韓日双方の推薦案件で共に協力することで合意した」のです。少なくとも岸田外相の認識はそうでした。
しかし、委員会の開催直前になって韓国が軍艦島の朝鮮人労働者に関し「強制労働(forced labor)」との単語を使うよう要求しました。日本が外国人に不法な強制労働をさせた――と日本に認めさせようとしたのです。
「韓国のカモ」岸田外相
日本とすれば当時は自国民だった朝鮮人を戦時徴用したわけで、全くの合法です。結局、日本政府代表は韓国が要求した「強制労働(forced labor)」の代わりに「forced to work under harsh conditions」という単語を使うことで登録に漕ぎつけました。
日本政府は「厳しい環境の下で働かされた」と訳しました。岸田外相も7月5日、日曜日の深夜にわざわざ会見し「我が国代表団の発言は強制労働を意味するものではない」と説明しました。問題の重要性に気づいた安倍晋三首相の指示とされます。
もっとも、韓国政府は「日本が強制労働を認めた」と凱歌をあげました。韓国の約束破りにしてやられたのです。外務省の内部でも「大失態」とされました。
尹炳世長官は日本を仇敵とつけ狙う名うての反日家です。韓国が騙してくることなど誰でも予想できたのに、“外交のプロ”がころっと引っかかったのですから。外務省の人の良さにはため息が出ます。
岸田外相は同じ年の12月にも韓国と慰安婦合意を交わしましたが結局、反故にされました。2度も騙されたことで「韓国のカモ」というイメージがすっかり定着しました。
「植民地になったことなどない」
――韓国の狙いは「強制労働だったから補償しろ」ということですか?
鈴置:それもあるでしょうが、本当の狙いは「1910年の日韓併合条約は不法だった」と日本から言質を取りたいのです。「不法な強制労働」との認定を手掛かりに「併合そのものが不法だった」と日本に認めさせる作戦です。逆に、「徴用」だったのなら「日本による朝鮮半島統治は合法」が前提の話になってしまいます。
――今頃不法だ、と認めさせて何の意味があるのでしょうか?
鈴置:21世紀になって国力が飛躍的に増大すると、韓国人は「日本の植民地になったことなどなかった」と信じたくなったのです。もちろん、現実の朝鮮半島は1910年から1945年までは日本の統治下にありました。せめて、「法的には植民地になったことはない」「形式的には独立国だった」という歴史に書き換えたいのです。
「佐渡」も同じことです。韓国政府は登録の条件として日本政府に「強制労働者の碑」を建てるよう要求している模様です。碑文に「強制労働」と書かせれば、しめたものです。「植民地支配不法論」の新たな証拠になります。
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