“理念に共感しました”はNG、絵画制作の狙いは? 元私立小学校教員が明かす「小学校受験」で名門校が求めているもの

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本質的な資質や能力

 うわべのスキルではない、本質的な力が必要だと言えそうだ。

「“絵はこういう順番で描く”“こういうことを描くと合格に近づく”といったテクニカルな話ではなく、それ以前の発想力や想像力、それらを支える具体的な生活経験が大事なんです。こうした力は普段の生活の中の家庭教育により身に付けていくものです。その意味では、学校側の“特別な対策は必要ない”という言葉は真実と言えます」

 そしてこう付け加える。

「慶應幼稚舎ではいわゆる『ペーパー試験』が受験科目にないので、よく“勉強はいらいみたいだし、うちの子はお絵描きが上手だから受かるかも”と考える方もいらっしゃるのですが、そう簡単な話ではありません。『壁を押す絵』なら、力がどのようにかかって、どういう体勢になるのかということまで考えなければなりませんし、『木に成る実の絵』という課題で、木に成るはずのないイチゴを無邪気に描いてしまってはいけない。ペーパー試験がなくとも、それだけ本質的な資質や能力が測られているのです」

 例えば願書では、「貴校の理念に共感しました」などという言葉は使ってはいけないという松下氏。有料記事「難関校合格の保護者と個人教室の先生が明かす ベールに包まれた『小学校受験』のウラ」では、このような松下氏による小学校受験対策の具体的な解説のほか、「教室選び」などのポイント、挫折を乗り越えて難関校に合格した漫画家一家のメソッドなど、ブラックボックスと化している小学校受験の実態と“勝ち筋”について詳報している。

デイリー新潮編集部

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