「そこまで働かなくていいよ、こっちで支えるから」 落語家・三遊亭らっ好さんが“頼もしすぎる妻”とゴールインできたワケ

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「こっちで支えるから」

 だがやがて、コロナ禍がらっ好さんを襲った。落語会は一切中止。食い扶持を稼ごうとコンビニスイーツの工場や料理宅配業者でのバイトもした。だが宅配中に自転車を車にぶつける物損事故。「コロナ給付金が相手の車の修理代に全部消えました」(らっ好さん)。

 美里さんは「そこまで働かなくていいよ、こっちで支えるから」と励ますも、ほどなくらっ好さんが始めた落語のリモート配信で聴衆が美里さんだけだったことも。これじゃ配信というよりネット通話だ。

 20年12月から同居し、美里さんはらっ好さんの落語のチラシや手拭い、ステッカーなどのデザインを始めた。かわいいイラストが目を引き、「それまでに比べて若いお客さんが目に見えて増えた」とらっ好さん。

星降る空の下でプロポーズ

 全国各地で行われる落語会に二人で足を運ぶことも多い。昨年2月、らっ好さんの出身地・長崎県佐世保市での落語会の後は佐賀県の武雄温泉へ。ホテルの庭へ出て手をつないで散歩して、星降る空を眺めながら「結婚しようか」「うん、しよっか」。二人の瞳の輝きは、満天の星たちが映ったせいばかりではなかった。

 パン屋の店主ら披露宴に集まった人々の写真を見ながら二人は、「ここにいる誰一人が欠けていても、今こうはなっていない」と改めて感謝の念を強くしつつ、「協力して恩返しをしていきたい」と誓い合う。

 美里さんは「今まで以上に売れさせないと」とすっかり落語家の女房だ。今後の二人しての全国行脚を、楽しみにする毎日である。

週刊新潮 2024年6月20日号掲載

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