韓国紙が報じた「日朝極秘交渉」は眉ツバ、「有力な家門の政治家」は明らかにおかしい…専門家が指摘する“問題部分”

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 韓国の大手日刊紙・中央日報の日本語電子版は6月13日、「朝日、モンゴルで秘密接触…『金正恩氏の直接指揮を受ける情報機関関係者が出席』」との記事を配信した。中央日報によると、北朝鮮側の代表団は3人で、日本側の代表団には政治家も含まれていたという。

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 記事の内容は日本でも大きく報じられ、林芳正官房長官は13日の記者会見で「事柄の性質上、答えは差し控える」と明言を避けた。まずは問題の記事から、核心部分だけをご紹介しよう。

《複数の情報筋によると、北朝鮮と日本の関係者らは先月、モンゴルで会った。関連事情に詳しい消息筋は「両国が先月中旬、モンゴルのウランバートル近くで会ったと承知している」とし「北朝鮮では偵察総局・外貨稼ぎ関係者など3人が参加し、日本側からは有力な家門出身の政治家が代表団の一員として出てきた」と明らかにした》

 デイリー新潮は4月9日、「岸田政権下での日朝首脳会談は完全消滅…金与正が激怒した背後に金正日“忠誠派”」との記事を配信した。早稲田大学名誉教授の重村智計氏が執筆した署名記事だ。要点をご紹介しよう。

 北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)・朝鮮労働党副部長は2月中旬、「日朝首脳会談は可能かも」と述べていた。その後、水面下で交渉が続いていたのだが、3月26日に金与正氏は「日本とのいかなる接触・会談も拒否する」と宣言してしまった。

 その理由として金与正氏は、「内閣官房長官は、記者会見(3月25日)を通じて、拉致問題が解決したとの(私の)主張を、絶対に受け入れることができないとの立場を明確にした。……日本とのいかなる接触、会談も拒否する」と説明した。

中央日報の記事は誤報!?

 ちなみに中央日報も《日本が拉致被害者問題の解決が最優先だという従来の立場を》貫いたため、北朝鮮は日朝会談を拒否したと伝えている。改めて重村氏に取材を依頼すると、「中央日報の記事は、率直に言って信憑性に乏しいと思います」と言う。

「韓国のメディアにとって日朝交渉は厄介な問題です。韓国にとっても重要なテーマであるにもかかわらず、北朝鮮と日本の交渉なので韓国には正確な情報を取れる取材先がありません。その一方で、日朝交渉の最新状況を報じることができれば、自動的にスクープとなります。現状は“書いたもの勝ち”の状況でもあるわけです。情報が入ってこないのは韓国の情報機関も同じです。そのため観測気球を上げようと、情報機関が中央日報に記事を書かせたと見ています。この結果、韓国政府は日本政府に『こんな報道が出ていますが?』と探りを入れることが可能になります」

 なぜ重村氏は中央日報の報道に信憑性を感じなかったのか、それは記事に不可解な記述があるからだという。

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