ほぼ無名、大した実績もなし、身の程知らず…石丸伸二氏に批判的な言説はなぜ炎上するのか【都知事選】

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小池氏が見離された理由

「東京にも地方出身者がたくさんいます。上京して高い家賃に苦しみ、子育てに悩みながら働いている有権者も多いでしょう。40代のパワーカップルで江東区にタワマンを購入した夫婦も、共に地方出身者で石丸氏の支持者だったりします。彼らは自分の故郷と安芸高田市を重ね合わせただけでなく、今の勤務先でも老害に悩まされていることもあり、石丸氏の言動に共感するのです」(同・井上氏)

“地方都市カースト制”の議論から、ネット民は小池氏と蓮舫氏の評価が極めて低いことも読み解けるという。

「石丸さんを支持する層は老害を問題視します。国会議員なら二階俊博さん(85)や麻生太郎さん(83)が嫌悪の対象になるわけですが、もはや小池さんも同じ扱いです。2016年に初当選した時は逆で、自民党から追われて都知事選に挑戦したため、『小池さんなら、利権にまみれた老害の自民党都議を一掃してくれる』という期待も集まりました。あれから8年が経ちましたが、都政は何も変わらず、気がつくと小池さんは自民党と公明党の支持を受けた“与党知事”です。これに学歴詐称の問題が加わり、ネット上で小池さんは完全に見離されてしまいました」(同・井上氏)

「2位じゃダメなんですか」

 蓮舫氏に対する批判は“地方都市カースト制”より“スクールカースト”のほうが使われるようだ。スクールカーストとはデジタル大辞泉によると「学校のクラス内で、勉強以外の能力や容姿などにより各人が格付けされ、階層が形成された状態」だという。

「蓮舫さんは父が貿易商という裕福な家庭に生まれ育ち、幼稚園から大学まで青山学院。大学にはフェアレディZで通い、クラリオンガールとして芸能界にデビューしたという“容姿”の持ち主です。今なら確実に“スクールカースト”のトップ層に君臨していたでしょう。ネット上のジャーゴン(隠語)を使えば、まさに蓮舫さんは“上級国民”の娘なのです。このため『蓮舫さんに普通の人生を歩んできた有権者の気持ちなど分かるはずがない』と批判されます。小池さんもニュースキャスターとして“容姿”が注目されていましたから、同じ理由で好感を持たれていません。そういう有権者は石丸さんの高い学歴と、堅実な職歴を評価するわけです」(同・井上氏)

 さらに蓮舫氏の場合、2009年11月に民主党政権の「事業仕分け」で言い放った「2位じゃダメなんですか」の発言が今に至るまで尾を引いているという。

「ネット民はIT業界に勤務している人が少なくありません。毎日、技術革新を巡って激しい競争を繰り広げていますから、『2位じゃダメなんですか』の発言は許しがたい“暴言”なのです。さらに一般企業に勤めている会社員も同じ考えを持っています。どんな業界でもシェア争いは熾烈を極めています。『2位じゃダメなんですか』の発言は社会の常識を知らない戯れ言と呆れ返られたのです」(同・井上氏)

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