ほぼ無名、大した実績もなし、身の程知らず…石丸伸二氏に批判的な言説はなぜ炎上するのか【都知事選】

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 東京都知事選挙は7月7日が投票日。だが現職の小池百合子氏(71)にも、有力な対立候補と言われる蓮舫氏(56)にも投票したくない。ましてや広島県・安芸高田市の前市長・石丸伸二氏(41)など論外だ──こんな記事が配信されると、たちまちネット上では“石丸支持者”による猛攻撃で炎上することをご存知だろうか。

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 石丸氏は1982年8月、広島県の吉田町に生まれた。ちなみに2004年、この吉田町を含む6町が合併して安芸高田市が誕生している。

 吉田町立の小・中学校から広島市の県立高校を経て京都大学経済学部に進学。卒業後は三菱東京UFJ銀行に入行した。銀行員としてキャリアを積み、ニューヨークに駐在した際は為替アナリストとして数カ国を担当した。政治記者が言う。

「石丸氏に人生の転機が訪れたのは2020年7月のことです。当時の安芸高田市長が自民党の国会議員だった、元法相の河井克行氏(61)から現金を受け取っていたことが判明。前市長は責任を取って辞職しました。辞職に伴う市長選に副市長は立候補しましたが、他は動きがないことを報道で知った石丸氏は出馬を決めます。7月8日に退職願を提出、22日に立候補を表明、8月9日の市長選で勝利を収めるという劇的な展開でした」

 安芸高田市長の任期は今年8月で満了を迎え、7月に市長選が行われる予定だ。すでに複数の立候補者が出ているが、石丸氏は5月10日の会見で不出馬を表明した。

「石丸氏は会見で『市長退任後も既存政党に所属せず、政治家を続ける』と説明。国政選挙に出馬する可能性は低いとする一方、都知事選は『前向きに検討する』との考えを示しました。そして5月17日、広島市内で開かれた記者会見で正式に都知事選の立候補を表明。任期途中の6月9日に市長を辞任しました」(同・記者)

“有力候補”に選ばれない理由

 ネット上では出馬を歓迎する声が相次ぎ、今も熱烈な支援の声がSNSなどに投稿されている。6月9日には石丸氏がYouTubeで生配信を行うと、“投げ銭”の金額が328万円に到達。9日の日計としては世界一の金額だったことも話題になった。

 石丸氏は立候補者として存在感を放っており、さすがに“泡沫候補”ではない。とはいえ“政治のプロ”から見ると、石丸氏を“有力候補”と見なすことはできないようだ。ベテランの政治記者が言う。

「東京都の有権者数は1100万人を超え、仮に投票率が50%として550万票の争いという桁外れの“巨大選挙”です。ここ数年の当選者を見ると、いずれも得票総数は200万票以上。候補者が全国レベルの知名度を持ち、政党の組織的な応援を受けなければ勝てません。石丸さんも異色の市長として全国ニュースで取り上げられたとはいえ、まだまだ顔も名前も知らない都民が少なくないでしょう。さらに正真正銘の無所属なので組織力もありません。マスコミが小池v.s.蓮舫という図式で報じ、石丸氏について触れることが少ないのは、やはり理由があるのです」

 全国紙やNHK、民放キー局といった旧来型の大手メディアは都知事選の報道で「なお、他に石丸伸二氏ら40人以上が立候補の意向を表明している」と付け足しのように言及しているのは、こうした判断があるからだろう。

 ところが、ネット上では全く違う光景が広がっている。

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