「三茶のプリンス・伊藤匠七段」を育てた師匠は「プロ入りを勧めなかった」 将棋ブームは続かないと思うワケ

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第5局に向けたアドバイスは?

 ちなみに、宮田さんは「AI(人工知能)嫌い」のようだ。

「人間同士でやる将棋なのに、なぜAIなのか。そんなにコンピューターが大事なら100メートル競走でもロボットを走らせればいい。NHKなんかも最近はAIの勝率を出して放映しているけど、そんな余計なものはいらないですよ。もっとも、それがいいという将棋ファンもいるみたいだけどね」と不満そうだ。

 藤井八冠にタイにされた叡王戦第4局において、伊藤七段の将棋はどうだったかと訊くと、「全然いいところがなかったな。勝ち目がなかった。それでもあれだけ粘ったのは若さですね」と感心する。

 さらに、伊藤七段について「もう将棋で教えることなんかあるはずがない。『三茶のプリンス』を一人のファンとして見ている」と語る宮田さん。

 6月20日に山梨県甲府市で行われる叡王戦第5局の「最終決戦」に向けても、「もう彼には特別なことも言わないし、アドバイスなんかしませんよ。まあ頑張れと言うだけ」と淡々としていた。

「賞金半分」の約束は、まだ実現していない。

前編【「たのって呼ぶぞ」伊藤匠七段 少年時代の秘話を師匠が明かす 藤井聡太が通った将棋教室との“違い”とは】では、老若男女さまざまな生徒が通う「三軒茶屋将棋倶楽部」の様子を紹介している。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に『サハリンに残されて』(三一書房)、『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件』(ワック)、『検察に、殺される』(ベスト新書)、『ルポ 原発難民』(潮出版社)、『アスベスト禍』(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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