【能登半島地震】「酒に逃げたくないと断ると『バカじゃないの』って」 ビル倒壊で妻と長女を失った居酒屋店主が「復興中」の看板に込めた思い

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目標は“妻と長女が眠る地”での再オープン

 悲しみが癒えない楠さんに酒を飲ませて勇気づけたのは輪島の仲間たちだった。

「酒に逃げたくないと断ると、『バカじゃないの』って。飲んで救われましたね。おかげで、やるしかないと覚悟を決めることができました」

 輪島時代に取引があった業者に電話をして食材を手配し、被災して作られなくなってしまった地元の酒をネットオークションなどで掻き集めたが、まだ足りないという。

「正真正銘の輪島の味を提供して、お客さんに復興が遅れている現状を発信し、輪島の力になりたい。オレができることなんてそれくらい」

 妻と長女の姿を思い出してしまうから今は輪島での営業は考えていないというが、復興が進めば、将来的にはこの店を「支店」にして、妻と長女が眠る地で「本店」を出すのが目標だという。

撮影・本田武士

週刊新潮 2024年6月20日号掲載

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