「泥棒猫」「あんた価値ないよ」知らぬ間に妻が不倫相手をSNSで猛攻撃…「さらし行為」に39歳夫が感じた恐怖

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バトルの顛末は…

 その後、智花さんは「結局、あなたは家庭に帰るのね」とメッセージを残して去っていった。仕事で会う可能性もあるが、智花さんは何もかも暴露するようなことはするまいと英登さんは信じている。

 夕子さんは「あの女と別れたのね」と彼に言った。智花さんから連絡があったのかもしれない。

「戻ってくるわよね、あなたがいてくれないと私は寂しくて……と夕子は言うんです。あの強烈なさらしあいからのメッセージのやりとりが忘れられなくて、僕は夕子とともに暮らすのはむずかしいという気持ちになっていた。だから悪いけど家を出るよと。少し頭を冷やしたいと言いました」

 昨年の秋から、彼は勤務先の近くにアパートを借りている。夕子さんは「私はいつまでも待っているから」と言うが、7歳になった娘が成人になったら離婚しようと英登さんは考えている。どうしても妻のあの二面性を受け入れることができないのだ。人は怒ればどういう反応をするかわからない、自分が悪いのだから妻の行動も認めたほうがいいと何度も自分に言い聞かせた。アパートを借りてからも、何度か家に戻ろうとしてみた。だが、妻の顔を見ると吐き気がしてとどまっていられない。

「娘に不穏な空気を感じさせたくない。だから今年の春の入学式には参列しました。外だと気も紛れるので、妻と少しは会話できる。妻は本当にいつも通りなんです。だからよけい怖いんですが……」

 さすがに夕子さんも、いつの間にかSNSのアカウントを削除したようだ。

 妻と恋人がSNSでバトルを繰り広げ、それを知り合いに見られてしまった気恥ずかしさはなんとも説明しがたい気持ちだと彼は言う。3人とも職場の人には見られていなかったのは運がよかったが、危ないところではあった。

「公私ともに怒濤の3年間でした。今でも気持ちは沈んだままです。それなのにときどき智花に会いたくなる。彼女があっさり去っていったからかもしれませんが。大事なものを手放したような気がしてなりません」

 智花さんへの未練がくすぶっている。彼女との第二章がありそうな気配だ。

こじれてしまった夫婦関係、いったいどこで間違えたのか――【前編】で英登さんと夕子さんのなれそめに触れている

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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