早慶ダブル合格なら早大“優勢” 背景に共通テスト利用と国際化路線 それでも「私なら慶応を勧めます」というワケ
完全に形勢逆転
私立大学の最難関と言えば早稲田大学と慶応大学だ。双璧をなす両大学はスポーツの世界でも切磋琢磨し、野球やラグビーなど伝統の早慶戦は国民的な人気を誇っている。ただ、受験産業や受験生からの視線で両校を比べると差が開きつつあるという。
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早大OBの教育ライターがこう指摘する。
「80年代に“早稲田バブル”が発生し政経学部や理工学部の偏差値が東大を上回る時期がありました。東大を蹴って早大進学を選んだ受験生がニュースになるほどでしたね。2000年代に入って以降は、早慶にダブル合格した場合、就職に強いイメージのある慶応を選ぶ受験生が多かったのですが、近年になって再び早稲田が優勢になってきました」
東進ハイスクールの調査によれば、2018年に慶応法、早稲田政経にダブル合格した場合、受験生の71.4%が慶応法に進んだが、21年は早稲田政経が71.4%と完全に形勢逆転。ある大学非常勤講師は「近年、早稲田と慶応の同系学部にダブル合格した場合、早稲田を選ぶ学生が圧倒的に多いです。現役学生に聞いたところクラス全員が『早稲田が第一志望』と言っていました。全体的に早稲田が1歩抜き出たことにビックリしました」と打ち明ける。“ワセダ復活”の裏に何があったのか。
「まずは国際化への取り組みです。2004年に全ての授業を英語で行う国際教養学部を設置しました。日本語を母国語とする学生は1年間の海外留学が必須となり国際感覚を身につけられると人気です。さらに外国人留学生の獲得にも熱心です。学生に聞くと『国際化と留学生の多さがワセダの魅力』と言いますね」(前出の教育ライター)
日本学生支援機構の調査によると、外国人留学生数を私大別で見た場合、早稲田が4208人であるのに対し慶応1878人、明治1389人、上智1225人、法政1092人。国内2位のマンモス大学でもある早稲田は留学生が圧倒的に多いのだ(2022年5月1日基準)。田中愛治総長は全学生数5万人(院含む)のうち留学生を2割にあたる1万人にまで増やす計画をぶちあげている。
ただ、大学のグローバル化には時間を要するのも確か。そんな中、大学の難易度を一挙に引き上げたのが看板である政経学部の入試改革だ。2021年度から一般入試に大学入学共通テストの数学を必須にした。これにより東大や京大の理系学部志望の学生も受験するようになり偏差値が急上昇。東大受験者の共通テストの平均点は8割ほどだが、政経学部の共通テスト利用で合格するためには9割以上の点数が必要という。
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