20代の女性参加者は「ちょっと恥ずかしいけど楽しい!」 生まれたままの姿で自転車にまたがるイギリスの“奇祭”を体当たりレポート

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「会社にバレたらマズいから顔は撮るなよ」

 総勢1000人以上にのぼる参加者との交流もこのイベントの醍醐味だ。神保氏が声を掛けた人々の生の声をいくつかご紹介する。

〇今年が2回目という香港出身の20代女性
「去年は少しナーバスな気持ちもあったけど、もう全然平気。今年は彼氏を連れてきたの」

〇少し恥じらう様子のフランスから来た20代女性
「このイベントに参加するためにフランスから来ました。ちょっと恥ずかしいけど楽しい!」

〇サングラスにマスク姿の50代男性
「写真? いいけど顔は撮るなよ。会社にバレたらちょっとマズいから」

〇これまで全ての回に参加し、先導役を担当する40代男性
「人前で脱ぐのは何のためらいもないね。思想を表現するというつもりはなくて、単純に街中で生まれたままの姿になるのが気持ち良くて好きなんだ」

 そうして他の参加者と会話しながら自転車を走らせていると、街の中心地に近づいてきた。ハリーポッターの「9と4分の3番線」で有名な「キングスクロス駅」に、「セントポール寺院」などの有名な観光地の前を通り、一行はテムズ川にさしかかる。

 巨大観覧車の「ロンドン・アイ」を横目に、颯爽と走る自転車集団。爽快感もピークに達したところで、神保氏にまさかのハプニングが。

衆人の好奇の目を一身に浴びることに

 あろうことか、テムズ川に架かる「ブラックフライアーズ橋」を渡っている途中で、自転車がパンクしてしまったのだ。

「ゴールまであと少しだったのに、そこで立ち往生です。集団で同じ姿でいる時は恥ずかしくなかったのですが、一人だけ取り残されてしまって、衆人の好奇の目を一身に浴びることに。最初はそのままの格好でパンク修理していたのですが、周囲は大爆笑。たまらず、そそくさとパンツを穿くことになりました」(神保氏)

 結局、修理が間に合わずゴールまで辿り着くことは叶わなかった神保氏。

「いやー、あの時が一番恥ずかしかったですね。しかし不思議なものです。さっきまでふざけたイベントに参加していたのに、帰り道はずっと“人の羞恥心はどこからやってくるのだろう”と、そんな真面目なことを考えていました。ともあれ、街中を生まれたままの姿で走り抜ける爽快感、高揚感は本当に癖になる。ぜひ日本にいる皆さんにも体感して欲しいです」(神保氏)

 もちろん来年も参加する予定だそう。今度こそ、完走を果たせるだろうか。

デイリー新潮編集部

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