小渕優子・選対委員長は次の党役員人事で真っ先にクビに…ロクな仕事もできず「自民党のおごりを象徴するような人事だった」

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 自民、またまた選挙で敗北──。6月9日に投開票された栃木県鹿沼市長選では、無所属新人で、立憲民主党県連幹事長を務めた元県議の松井正一氏(58)が当選。同じく無所属新人で自民・公明両党が推薦した元県議会議長の小林幹夫氏(70)は落選した。栃木県は自民党の候補が強く、“保守王国”と呼ばれてきた。担当記者が言う。

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「栃木県で衆議院選挙の小選挙区は5つあります。自民党議員は1区で船田元氏(70)、3区で簗和生氏(45)、4区で佐藤勉氏(71)、5区で茂木敏充氏(68)が当選し、さらに2区では五十嵐清氏(54)が比例復活を果たしました。参議院の栃木県選挙区も定員2に対し、自民党の上野通子氏(66)と高橋克法氏(66)が独占。全部で9人の国会議員のうち7人が自民党、2人が立憲民主党と、まさに保守王国でしょう」(同・記者)

 鹿沼市は五十嵐氏の選挙区内にあり、自民党幹事長である茂木氏の“地元”でもある。人口約9・8万人の市長選とはいえ敗戦の衝撃は大きく、メディアは『自民党、また選挙で敗れる』と全国ニュースで詳報した。

 鹿沼市長選の敗因について、大手メディアの多くは「裏金事件が原因で、自民党には強い逆風が吹いている」と解説した。もちろん正しい分析なのだが、実は自民党、裏金事件が発覚する前から選挙で敗れていることをご存知だろうか。

「自民党の5派閥で政治資金収支報告書に不記載の疑いがあると、捜査機関に告発状が提出されたことが明らかになったのは昨年11月のことでした。ところが自民党は昨年9月の東京都立川市長選、10月の立川市の都議選補選、11月の東京都青梅市長選でも敗北を重ねたのです。ここで注目したいのが小渕優子氏(50)です。昨年9月に自民党の党役員人事が行われ、選対委員長に小渕さんが就任しました。そして彼女が委員長に就任してから、自民党の“敗北率”が急上昇してしまったのです」(同・記者)

小渕氏は選挙の“現場監督”

 自民党の場合、党四役は総務会長、政務調査会長、そして幹事長と選対委員長を指す。幹事長は「最大の仕事は選挙対策」(註)と言われ、選対委員長は文字通り選挙の総指揮を執る。選挙において幹事長と選対委員長の仕事は、どのように線引きされているのか、政治アナリストの伊藤惇夫氏に訊いた。

「自民党の幹事長は、立候補者の公認権を握っているのが最も重要なポイントでしょう。つまり幹事長は『自民党は、こういう顔ぶれで選挙を戦う』というグランドデザインを描くのが任務だと言えます。一方の選対委員長は選挙の実務を担当します。幹事長が選んだ候補者の顔ぶれをもとに、各選挙区の情勢分析を行ったり、選挙が始まったら自身が応援演説に立ったり、応援弁士を手配したりするなどします。まさに選挙における“現場監督”というポジションでしょう」

 今年4月に行われた衆院補選は島根1区で敗北し、東京15区と長崎3区は不戦敗。さらに5月の静岡県知事選でも敗れたことは記憶に新しい。

「これほど自民党が選挙で負け続けたというのは、私の記憶を振り返っても思い当たりません。当然ながら党内から敗戦の責任を問う声が噴出しても不思議ではないでしょう。その際は首相の岸田文雄さん(66)、幹事長の茂木さん、そして選対委員長の小渕さんの“連帯責任”が俎上に載せられると思います」(同・伊藤氏)

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