「奇跡のアラフィフ」「若過ぎ」 女性芸能人に使われる、お決まりのフレーズに一石を投じた石田ゆり子の「寝ぐせ写真」

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「若い」ではなく「あどけない」女を目指す、浜崎あゆみにも見る自意識

 私は今回の石田さんの投稿に、浜崎あゆみさんに通じる価値観とこだわりを感じた。「若い」よりも「あどけない」と言われたい、外見の「若さ」より内面の「若さ」至上主義である。

 浜崎さんもよくSNSが炎上する人だ。40代と思えない美貌やスタイルをキープしているものの、露出度の高い衣装に身を包み、若い男性ダンサーといちゃつく写真には「年がいもない」「痛々しい」という声が上がることも多い。英語まじりの意味深なポエムも、失笑を買う一因になっている。

 ただ浜崎さんは、見た目が若いと言われるよりは、子どものように純粋な言動を評価してほしい人なのかなと思う。「(息子と)おチビ2人って呼ばれてる」とか「カレーを泣きながら笑いながら食べ」たといった報告、「ちょこんと座って」などオノマトペやひらがなの多い文章には、子どものように素直な自分をアピールしたいという欲求が感じられる。

「若い」より「あどけない」と言われたい。見た目の若さより感性の若さを褒められたい。

 それは石田さんの、寝ぐせアート投稿にも通じる。「さいきん」「みんなみんな」といった言葉の使い方や、無造作な格好。「ヨーロッパの女の子みたい」というコメントが付いていたようだが、まさしく欲しかった言葉ではないだろうか。

 けれども見た目の若さと違い、感性の若さは写真で切り取ることはできない。その場で会話を交わしたりしないと分からないものだ。それなのに浜崎さんや石田さんは感性の若さをSNS上でアピールしようとするから、どこか作為的になり、どんどんと「子どもっぽさ」から遠ざかっていく。だから見る側も、余計に反発したくなるのではないだろうか。

それでも違和感に声を上げずにいられない 柔和な外見に隠された頑固さと影響力

 きっと石田さんは、見た目よりずっと頑固な人なのだろう。6年前には店員の接客態度についての不満を書いて物議を醸した。先の飛行機でのペットの同乗についても、事故直後とあって、何か言えばある程度の批判は来ると普通なら想像ができたはずだ。

 それでも我慢できずに書いてしまう。小さな違和感を放ったままにできない。今回の件も、わざわざ過去の写真を取り出してきて、「みんなみんないい感じに歳を重ねている」という言葉を添えたところに意味があるように思う。それは「年齢より若く見える」と言われることを期待して投稿を続ける女優たちから見たら、ちょっとかんに障るだろう。でも石田さんは、摩擦を避けることより、私はこう思うの、というのを正直に打ち明けることを優先してしまう人なのではないだろうか。

 それは「あどけない」というよりも、「子どもっぽい」行動だ。そして、「大人げない」選択ともいえる。でもその「めんどくさい」自意識や性格が、彼女を浮き沈みの激しい芸能界でトップ女優たらしめ、今もフォロワー300万人超の影響力の源泉となっているポイントに違いない。

 私自身も石田さんのフォロワーだが、個人的には今回の発信も好意的に見ていた。年を取ったら「若い」おばさんか「色っぽい」おばさんにならないと生きづらい社会は気が滅入る。石田さん自身への評価は別として、「お茶目」とか「品がいい」とか「働きもの」とか、いろいろな褒め方を良しとするために、声を上げてくれたのだとしたらとても頼もしく感じる。「虎に翼」の主題歌「さよーならまたいつか!」の一節のように、この炎上が石田さんやフォロワーにとって「人が宣う地獄の先にこそ わたしは春を見る」きっかけの一つになるのだとしたら、こんなに心強いことはないと思う。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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