61歳で保育士の資格を取るために専門学校へ、63歳で保育園に就職…元パ・リーグ首位打者(65)が明かす第二の人生「コツコツやるのは得意です」
近所の子どもたちを自宅に招いて
とはいえ、近所の子どもと無邪気に遊ぶ大人の姿は少々異質に映る。親としては「あの人には近づかない方がいい」と言いたくなるだろう。だからこそ、コーチ退任後に選んだ少年野球教室「マリーンズ・アカデミー」でのテクニカルコーチは適任だった。
「アカデミーの仕事はとても楽しかったです。子どもって、決して愛想笑いはしないですよね。楽しいときには心からの笑顔が弾ける。それを見ていると、本当に幸せな気持ちになれます。コーチをしていた頃は、普段から近所の子どもたちとも遊んでいました。子どもって、絵本や紙芝居がとても好きなんです。だから、近所の図書館で借りて、果物好きな子が多いからイチゴも準備して、子どもたちに喜んでもらいながら、いつも遊んでいたんです」
しかし、いくら子ども本人はもちろん、親からの了解が得られていたとしても、このご時世では「知らないおじさんの家に遊びに行く」ことに対する警戒心が根強くあるのは当然のことである。純粋に「子どもたちを喜ばせたい、楽しませたい」と思っていても、第三者から見れば、違う目的があるのではないかと、疑念を持たれる可能性もある。
「本当にその通りですよね。だから、アカデミーの仕事の更新依頼もあったけど、すでに60歳を過ぎていたし、担当クラスから外れて補助的な役割を求められたときに、“まだまだ身体も動くから、何か子どもと関わる仕事がしたい”という思いが強くなって、幼稚園や保育園の用務員を目指すことにしたんです」
この時点ではまだ「資格を取って保育士になろう」と考えていたわけではなかった。履歴書を持って、「私を雇ってくれませんか?」と、飛び込みで回っているうちに、ある保育園の園長から、思いもよらぬアドバイスを受けた。
「その園長さんから、“そんなにヤル気があるのなら。きちんと学校に通って保育士の資格を取ったらどうですか?”と言われました。そして、具体的な道筋のアドバイスをもらいました。それを聞いているうちに、“学校に通った方が確実だな”と考えて、専門学校に通うことを決めました」
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