「アニソンは世界を超える」…高橋洋子が「残酷な天使のテーゼ」で“発売当時のまま”の歌唱を続ける理由

エンタメ

  • ブックマーク

最初の印象のままが大事

 当然のように、アニソン歌手としての地位も確立。「デビュー当初はバラードシンガーというのが私のアイデンティティだったけど、アニソン歌手はアニメがあっての主題歌であり、アイデンティティは必要ないと分かった」という。

 レコーディング当時は譜面に忠実に歌っただけだったが 、「残酷な…」なども当初は気付いていなかったものの、「何年かしてから、ファンは最初に聴いた主題歌の『残酷な…』が好きなんだと分かった。だからそれに気付いてからはちゃんとCDを聞きなおして、忠実に歌うようにした」と明かす。

「年齢を経て声も変わるけど、印象が違えばみんなの夢を壊すことになる。だから最初のCDに忠実に歌うよう、今も心掛けている。特に45歳を過ぎてからは、CDに入っている20代の私のマネをするんですよ」

 カラオケなどでもよく歌われるが、本人にコツを聞くと「まずはゆっくりと一音一音を確実に歌う。ただそのままではテンポを戻すと間に合わないので、水面に浮かんだ浮き石を渡るような感じで沈み切らないうちに歌う。それとブレス(息継ぎ)の位置は重要で、毎回息を吸う場所を決めておく。適当に吸っているといつまでたってもうまくならない。あとは自分が歌った音源を聴く作業も大事ですね。どこをどういう風に直すといいか分かるので」と教えてくれた。

 実は、さらに詳しいコツをまとめた書籍『高橋洋子のヴォーカル・レッスン 「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」をだれよりも上手に歌えるようになる本』(リットーミュージック)を高橋自身が著しており、一読の価値がある。

バレないかヒヤヒヤ

 近年はTBSの「人間観察バラエティ モニタリング」にもしばしば出演し、お茶の間を楽しませている。

「ネットなどではやらせなんて言われることもあるけれど、あれはガチなんですよ」と力説。ただ、見ている人へのサプライズの爽快感というよりは「バレると中止になって何度もやらなきゃいけなくなるので、バレなかったときに安堵する気持ちの方が大きいです」と明かす。

 設定やキャラクターもほぼ自身で考え、「トラブルにも対応できるよう練習もするし、自分の良さも出るような選曲をしている」という。その甲斐あって、「この人、こんな曲も歌うんだ、というような声を聞くとうれしくなる」と目を細める。

次ページ:イタリアで、インドで

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[4/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。