寺島しのぶの“野望”を封じ込め? 異例の「菊五郎二人体制」が許された“ウラ事情”

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二つの「ウラ事情」

 が、それはあくまで表の事情に過ぎないという。梨園関係者が耳打ちする。

「実は、菊五郎は2年前から脊柱管狭窄症を患っているんです。声こそ以前と変わらず明瞭ですが、舞台上では思うように動けません。歩いても2~3歩ほどという状態で、ほとんどは座ったまま。当の菊五郎も“自分が舞台に立てるのは、あと2~3年程度”と覚悟しているフシもある。襲名の可否を判断する松竹が、前代未聞の“二人菊五郎”を容認したのもうなずけます」

 歌舞伎界に残された偉大な足跡への敬意といえそうだが、同時に尾上家の将来を見越した“保険”的な意味合いもあるという。八代目の襲名と同時に、菊之助の長男・丑之助(10)が「六代目菊之助」を継ぐことも明らかにされたからだ。

 松竹幹部がそっと明かす。

「親から子に名跡を継承する場合、襲名は親の死後になるケースがほとんど。にもかかわらず、尾上家が父の存命中に息子の菊之助に名跡を継がせるのは、先々の内紛の芽を摘む狙いも込められているんですよ」

 菊之助の姉で女優の寺島しのぶ(51)は、性別を理由に歌舞伎俳優への夢を諦めたことで知られる。

「それだけに寺島さんは、歌舞伎界に身を投じた長男の尾上眞秀(まほろ・11)に菊之助を襲名させたいとの思いがことさら強いんです。実際、裏では眞秀の襲名を各方面に働きかけていたといいますからね」

 過去の例からも、歌舞伎界では、大名跡ほど襲名争いが起こりやすいと伝わる。

「菊五郎は数々の争いを目にしてきた。先々に姉弟が争うことがないようにと考え、寺島さんの野望を封じる形を取ったのでしょう」

 その寺島は父と弟、甥が顔をそろえた襲名発表を受け、父親を「傾(かぶ)いている人だと思う。カッコいい」と持ち上げて“白旗”を揚げた。

週刊新潮 2024年6月13日号掲載

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