「手から血を出したまま客にウサギを…」 大津・保護司殺害事件、飯塚容疑者の“素顔”

INCIDENT 国内 社会

  • ブックマーク

 なり手不足が叫ばれて久しい保護司。今回の事件の衝撃は、日本の更生保護制度を支える存在の減少に拍車をかけそうだ。

 5月下旬、滋賀県大津市で保護司のレストラン経営者、新庄博志さん(60)が刺殺された。今月8日に県警が殺人容疑で逮捕した飯塚紘平容疑者(35)は、新庄さんが担当する保護観察対象者。しかも、対象者による保護司殺害は過去に例がなく、観察終了の7月9日まで1カ月半というタイミングでの惨事だったのだ。

 保護司は、非行少年や仮釈放者、保護観察付きの執行猶予判決を受けた人を支える民間ボランティア。主に、地域発展にも貢献していた新庄さんのような篤志家や、公務員の定年退職者が就く。対象者との月2回ほどの生活相談や就労支援が職務。収入や交友関係など生活状況を保護観察所に報告する義務を負う。

60代以上が8割

 法務省関係者によれば、

「保護司の定員は5万2500人ですが、長らく定員割れが続き、約4万6000人前後で推移しています。高齢化も進み、60代以上が8割を占めている。法務省では、なり手の確保策を議論している最中でした」

 さらには、制度の根幹に関わる課題もある。

「あくまで支援が目的の更生保護は、対象者が加害者となることを前提とした安全対策マニュアルが存在しません。対象者が粗暴で手に負えない場合は、保護観察所から専門の保護観察官を派遣したり、複数の保護司で担当する程度の想定しかなかったのです」

 こうした背景のもと、新庄さんは自宅で、上半身を刃物で10カ所以上も刺されて命を落とした。

次ページ:「手から血を出したまま客にウサギを…」

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。