「診察についての謝罪はしない」 小学校検診でパンツをのぞいた小児科医が語った“本音”

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「今も気持ちは全く変わっていません」

 大山氏の真意を探るべく、直接ご本人に話を聞いた。

 説明会での“間違ったことはしていない”との発言については、

「今も気持ちは全く変わっていません。私の専門である性徴や性成熟について、詳しく診る必要があったと思っているからです。例えば、発育が早すぎる思春期早発症が起きていて、これを放っておいた場合、すぐに身長の伸びが止まってしまいます。しかし、早期発見を行い、急いでホルモン治療などの適切な処置を取れば、身長を伸ばせるかもしれません。私はリスクを見逃したくないのです」

 たしかに、大山氏は2011年まで山梨大学大学院医学工学総合研究部の教授として小児内分泌学を専攻していた、その道のエキスパートである。

“専門バカ”

 とはいえ、児童を泣かすほどの診察は本当に必要だったのか。さる小児科医に見解を求めると、

「小学校の検診でパンツの中を診るなんて聞いたことがない。思春期早発症の発見が大切なのは理解できますが、児童全員の下着の中をチェックする必要はありません。身長や骨格、女子だったら胸の膨らみなど他の項目でも判別が可能だからです」

 また別の病院経営者も、

「大山氏は典型的な“専門バカ”。自らの興味関心ばかりに目がいき、他人の気持ちに想像力を働かせることができない人です。そもそも、説明をした上で同意を得て医療行為を実施しなくてはいけない、という現代の常識であるインフォームドコンセントが理解できていない」

 大山氏に、世間との認識のズレがあったのではないかと尋ねると、こう答えた。

「検診内容について、事前の説明は必要だったと思います。そこについては説明会でも謝罪したつもり。ただし、診察の中身は正しいものだったので、そこに関しての謝罪はできません。それでも教育長や校長先生から単に“謝ってください”と言われましたが、もし、その謝罪内容が診察に関してであれば、私が悪いと認めるのと同じじゃないですか」

 医学の進歩が目覚ましい昨今だが、“専門バカ”に付ける薬が開発されるのは、まだまだ遠い未来になりそうである。

週刊新潮 2024年6月20日号掲載

ワイド特集「梅雨前線北上中」より

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